第1348回
「ねずみ小僧な中国共産党」

先日、中国の全人代常務委員会は、
個人所得税法改正法案を可決しました。

この改正法では、個人所得税の課税最低所得が
月2,000元(2万6,000円)から
月3,000元(3万9,000円)に引き上げられました。
これにより、全給与所得者に占める非納税者の割合は
従来の72%から88%に上がります。

また、課税最低所得の引き上げにより、
その上の税率区分の所得額も引き上げられ、
納税対象者の94%を占める
月間所得4,500元(5万8,500円)以下の人たちの税率は
10%以下ということになります。

つまり、10人中9人弱は個人所得税を払う必要がなくて、
個人所得税を払わなければならない
10人中1人強もほとんどの人が税率10%以下、
ということになります。
今回の改正法では、給与所得者の90%前後が
改正前より減税になるのだそうです。

しかし、この改正法、高額所得者には増税となります。

中国の個人所得税の最高税率は45%ですが、
今回の改正法ではその下の40%という税率が廃止されたため、
45%の最高税率を適用される人は増加することになりました。

また、中国国家税務総局は、高額所得者を対象に
株式や住宅の売却益、株式配当、ボーナス、競売益など、
給与所得以外の所得に対する徴税を強化する方針を発表し、
脱税を見逃さないために他の当局と
緊密に連携するよう各税務局に指示しました。

これらの一連の動きは、貧富の格差を是正して、
社会の安定を図ろうという中国政府の方針によるものです。
今まではケ小平氏の「先富論」の第1段階
「先に豊かになれる者から豊かになれ」に従って
経済成長に力を入れてきましたが、
これからは第2段階
「そして落伍した者を助けよ」の教えを守り、
再分配にも力を入れなければならない、
ということなのでしょう。

ただ、中国最大の税収源は
45%を占める付加価値税・増値税であり、
個人所得税が占める割合は6.8%に過ぎません。
その6.8%の個人所得税の税率を改正することによる
国家財政への影響はほとんど無いものと思われます。

しかし、そうした小さなコストで
「金持ちからおカネを巻き上げて庶民に配る」という
「ねずみ小僧な中国共産党」を演出し、
中国共産党に対する国民の求心力が高まって
国内情勢が安定すれば安いものです。
この辺が今回、個人所得税法改正を行った
中国共産党のホンネなのかもしれません。





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2011年5月27日(金)

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