第1364回
「免費」が大好きな中国の人たち

昨年、日本では
「フリー〜「無料」からお金を生み出す新戦略」
という本が話題になりました。

「あなたがどの業界にいようとも、
「無料」との競争が待っている。
それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。
そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る
このフリーという過激な価格を
味方につけることができるだろうか」
というのがこの本の売り文句です。

インターネットの普及で、
どの業界でも価格競争はどんどん激しくなっています。
価格競争はとことんまで突き詰めると、
最終的には無料に行き着きます。
ただ、無料でモノやサービスを提供していては、
商売になりません。
そこで、無料のモノやサービスとは
別のところでおカネを儲けるビジネスモデルを
構築する必要がある、ということです。

この「フリー」のビジネスモデル。
やり方によっては中国では非常に有効であると思われます。
なぜなら、中国の人たちは
「免費(めんふぇい、無料)」という言葉に対して、
日本人よりもはるかに敏感で、
尚且つ、この言葉が大好きだからです。

例えば、数年前までは、
中国で映画を見ようと思ったら、
近所の海賊版DVD屋に行けば、
最新の映画のDVDが10元(12.5円)で
買うことができました。

これでも十分に安いと思っていたのですが、
中国のYou Tubeと呼ばれる「優酷網(よーくーわん)」や
「土豆網(とぅどうわん)」の登場で、
ネット上で映画がタダで見られるようになると、
海賊版DVD屋は急速に淘汰されていきました。

そして、「優酷網」や「土豆網」は
タダの映画を見るために大量に集まってきた人たちに
広告をしたい企業から広告料を得ることでおカネを儲ける、
というビジネスモデルを構築したのです。

この他にも、
タダの検索サービスや音楽を提供する百度(ばいどぅ)、
タダの仮想マーケットを提供する淘宝網(たおばおわん)、
タダのマイクロブログサービスを提供する新浪(しんらん)、
タダのSNSサービスを提供する人人網(れんれんわん)などなど。
彼らのビジネスモデルは全て、
タダのサービスを受けるために集まってきた
大量の人たちに広告を見せることで広告料を得る、
ということで成り立っています。

中国では「免費」と聞けば、
黙っていても大量の人が集まってきます。
「免費」が大好きな中国の人たちを大量に集めるのは、
それほど難しいことではないのです。


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2011年7月4日(月)

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