第1365回
中国で「フリー」のビジネスモデルは成立するのか?

「免費(めんふぇい、無料)」の
モノやサービスを提供して、大量の人を集め、
その集まった大量の人に対する広告でおカネを儲ける。

この「フリー」のビジネスモデルは、
今後中国でも更に増加していくことが予想されます。

例えば、最初に15秒の広告を聞けば、
電話の通話料がタダになるサービス、
アンケートに回答することを条件に、
食品や日用品がタダでもらえるサービス、などなど。
日本には既にあるが中国にはまだない
「フリー」のビジネスモデルはたくさんあります。

問題は「免費」につられて集まってきた人たちに
広告を打つことで、果たして広告費に見合う
広告効果が得られるのか、ということです。

私の会社のオフィスがある
幸福大厦の周辺はオフィス街ですので、
昼休みになるとランチを食べるために
たくさんの人が外に出てきます。
幸福大厦の前には、そうした人たちを狙って、
時々、広告付きのティッシュを渡したり、
ハミガキやガムの試供品を配ったりする人が来ます。

日本ならば通りすがりに取る人がいたり、
取らない人がいたり、という状況だと思うのですが、
幸福大厦の前にはどこで聞きつけたか、
わざわざティッシュや試供品をもらいに来る人がたくさんいます。
中には3つとか5つとか、複数個を要求する人までいます。

こうしたタダのモノをもらって生活の足しにするような
「免費ゲッター」にティッシュや試供品を配って、
果たしてそれが消費に結びつくのかは甚だ疑問です。

広告料を出す広告主が、
こうした「フリー」の広告媒体の広告効果に疑念を抱き、
消費に結びつかない「免費ゲッター」が少ない、
もっと広告効果の高い媒体に逃げてしまえば、
「フリー」のビジネスモデルはいとも簡単に瓦解してしまいます。

「免費」大好きの人がたくさんいる中国。
この国でタダのモノやサービスを提供して
大量の人を集めることはそれほど難しいことではありません。
しかし、「免費」の臭いを嗅ぎつけて集まってきた大量の人たちに、
消費という最も重要な次の一歩を踏み出させるのは、
かなり難しいことなのではないかと私は思います。


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2011年7月6日(水)

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