第1383回
中国人観光客に対するマルチビザ解禁!

先月1日から中国人観光客に対して、
有効期間の3年以内なら何度でも日本を訪問できる
数次査証(マルチビザ)の発給が始まりました。

このマルチビザは1回の滞在期間も
従来の一般個人観光ビザの15日間から
90日間に延長されています。
日本政府は発給対象の経済的条件を公表してはいませんが、
中国の旅行会社関係者によれば、
目安は年収25万元(310万円)、
月収にして2万元(25万円)強とのことですので、
かなりの高給取りが対象となるようです。

今までは日本に旅行に行く度に
毎回ビザを申請しなければなりませんでしたが、
今回の規制緩和により、
中国人観光客のみなさんにもっと気軽に
日本に行って頂くことができるのではないかと思います。
東日本大震災とその後の原発事故により、
中国から日本に行く観光客の数は
大きく落ち込んでいるようですが、
今回のビザ発給条件緩和により
少しでも回復が早まれば良いなと思います。

ただ、このマルチビザ、
初回の訪日時には必ず沖縄に1泊以上しなければならない、
というルールがあります。
中国人の友人は、
「なんで行き先を指定されるんだ」と不満気ですが、
調べてみるとこれは順番が逆で、
沖縄県の中国人観光客に対するビザ免除の要請を受けて、
日本政府が「では、まずはマルチビザから」
という今回の規制緩和を決定したようです。

日本のマルチビザの入り口が
沖縄に制限されているわけではなくて、
沖縄行きのマルチビザに
その他の地域がオマケとして付いている、
ということなのです。

今回のマルチビザ解禁により、
中国人観光客の日本旅行のハードルはかなり下がりましたが、
それでも煩雑な申請手続きと高い年収制限は残っています。

一方で昨年、
当社の社員旅行の行き先となった韓国の済州島は、
全ての中国人がビザなしで行けますので、
誰でもホテルと飛行機のチケットを予約すれば
すぐにでも行くことができます。
この気軽さはやはり、
旅行先を決めるに当たって大きなポイントとなります。

日本に来た中国人が逃げて不法滞在したら困る、
という法務省の言い分はよくわかります。
しかし、そのために当社の社員を始め、
逃げる可能性がないたくさんの中国人観光客を
他国に持っていかれているのも事実です。

法務省には今後も外務省や国土交通省とよくご相談を頂き、
治安維持と経済効果を熟慮した、
トータルの国益を考えたご判断をお願いしたいと思います。


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2011年8月17日(水)

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