第1384回
中国農村部を貧困から救うアンズ

先日、北京日本人会緑化委員会の活動で、
山西省大同市で20年間にわたって植林を続けておられる、
NGO「緑の地球ネットワーク」()事務局長・高見邦雄さんから
直接お話を聞く機会に恵まれました。

高見さんは1992年1月に
中華全国青年連合会(全青連)を通じて
大同市輝源県で植林を開始、
以来、旱魃と洪水が交互に襲う
厳しい環境の黄土高原で植林を続け、
合計で2,000万本以上の木を植えて
大同の緑化に貢献してきました。

高見さんのお話で最も印象的だったのが、
アンズの生命力の強さです。

アンズは非常に乾燥に強く、
一方で地下深くまで根を張るので
洪水があってもなかなか流されないのだそうです。

アンズの実はそのまま食べても良いですし、
ドライフルーツやジャムにすることもできます。
また、アンズの種のさね・杏仁からは咳止めの薬や、
杏仁豆腐、ジュースを作ることができますし、
アンズの種の殻からは活性炭を作ることもできます。

高見さんが2003年に出版された本の題名は
「ぼくらの村にアンズが実った」(日本経済新聞社)です。
旱魃と洪水で他の農作物ができずに
貧困にあえぐ黄土高原の村にとってのアンズの実は、
加工・販売により現金収入を得て、
貧困のどん底から這い上がるための希望そのものなのです。

私は中国の農村にホームステイさせて頂いたり、
北京日本人会が農村に建てた希望小学校に
ボランティアで行ったりする中で、
「中国農村部の貧困問題を解決する方法はないものか?」
と考え続けてきました。

高見さんにお会いするまでは、私は素人考えで
「農村部で乾燥に強いサボテンを育てて、
都市の人たちがビーフステーキの代わりに
サボテンステーキを食べれば良いのではないか」
などと思っていたのですが、
今回、強い生命力と幅広い用途を持つアンズのお話を聞いて、
アンズが中国農村部を貧困から救う
1つのヒントになるのではないかと思いました。

ただ、現状中国では、
そうした農村部で作られたアンズ製品が
大規模に流通している例は多くありません。
思い浮かぶのは河北省承徳市の会社が作っている
杏仁飲料・露露(るーるー)だけです。

中国農村部を貧困から救うためには
アンズを植林することももちろん大切ですが、
同時に、農村からアンズを大量に買い上げて
農民に現金収入をもたらし、
そのアンズを加工して中国全土で販売する
流通システムを構築することも、
非常に重要なのではないかと思いました。

「緑の地球ネットワーク」
http://homepage3.nifty.com/gentree/


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2011年8月19日(金)

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