第1387回
中国の「貧困層」の生活

今の中国は格差問題が深刻である、と言われます。

しかし、私は中国の貧富の格差自体は
問題ではないと思っています。
問題なのは、中国共産党員とその関係者だけが、
職権を濫用して金持ちになっていく腐敗問題と、
そのあおりで明日食べるものもないような生活を
強いられている人たちの貧困問題です。

中国は社会主義国家ではありましたが、
まともな手段で金持ちになった人を
貧乏人が妬むような雰囲気は感じられません。
結果平等が尊ばれる、
世界で最も成功した社会主義国家・日本と違って、
中国では機会平等さえ与えられれば、
そこから先は自己責任、
という雰囲気が支配的であるように思います。

中国の貧困基準は
従来、年収1,196元(1万5,000円)でした。
この基準でいくと
中国の貧困人口は2000年末の9,423万人から
2009年末には3,597万人まで減少しました。
中国政府は今年、貧困基準を
年収1,500元(1万9,000円)まで引き上げて、
扶助対象となる貧困人口を再び1億人超まで
増加させようとしています。

この中国の貧困基準でいくと、
前回ご紹介した農家のご主人も
ほとんど現金収入がありませんので、
「貧困層」ということになります。
しかし、ご主人と家族の生活は
「貧困層」という言葉からはかけ離れています。

土壁ながら3LDK庭付き一戸建ての大きなマイホーム。
自分の農地で無農薬栽培している味が濃い新鮮な野菜と
放し飼いしている鶏が産んだばかりの卵を使った料理。
おいしい空気とのんびりと流れる時間。
そして、家族が6年間食べていけるだけの
面粉(みぃえんふぇん、小麦粉)の備蓄。

金銭的な基準で測れば、
彼らは年収ほとんどゼロの貧困層ですが、
クオリティー・オブ・ライフ(人生の質)
という観点から見れば、
ストレスまみれのへたな都会のお金持ちよりも
ずっと豊かかもしれません。

ただ、ご主人といろいろと話していると、
やはり、元気なうちは良いが、
万一、大きな病気にかかったら
病院で診てもらうおカネがないので、
そのときは寿命だと思って諦めるしかない、
とのことでした。

中国では都市でも
「看病難、看病貴(かんびんなん、かんびんぐい)」、
つまり、医者不足で病気を診てもらうのも大変だし、
診てもらう診察料も高い、
ということが社会問題となっていますが、
貧困農村の農民はそもそも病気を診てもらうための
おカネ自体をほとんど持っていないのです。

中国共産党は2020年までに貧困層に対して
義務教育、医療、住宅を保障、収入の増加率も加速させて
全国的な小康(しゃおかん、いくらかのゆとりのある状態)を
達成しようとしています。

現金収入が少ない人たちは、大きな病気にかかったら
そのときは寿命だと思って諦めるしかない。
彼らがそんなせつない状況から1日も早く抜け出せるように、
中国政府には貧困層の扶助に
最大限の努力をして頂きたいと思います。


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2011年8月26日(金)

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