第1399回
中国の消費者の消費基準は「性価比」へ

最近、中国では「性価比(しんじゃーびー)」
という文字を見ることが多くなってきました。

淘宝網(たおばおわん)のコメント欄に
「性価比高!」と書いてあったり、
不動産の広告のコピーが
「性価比で比べてください」だったり...。

「性価比」とは性能と価格の比率、
すなわちコストパフォーマンスのこと。
今、中国の消費者は価格のわりに品質や性能が
良いものを求めるようになってきているようです。

私が中国に来た15年前、
中国には価格は安いけれども品質の悪い
「安かろう悪かろう」のモノがあふれていました。
国産のモノはやる気のない国営企業が作った
いい加減なモノばかりでしたし、
外国企業が作ったモノも
中国の所得水準に合わせて価格を抑えたためか、
自国のマーケットで既に時代遅れになってしまったような
二級品ばかりでした。

中国の消費者は何十年も続いた
こうした状況にうんざりしていたのでしょう。
その後、高度経済成長でお金持ちになり始めると、
彼らは「安かろう悪かろう」時代の反動のように、
何しろ「高くて良いモノ」を求め始めました。

当時、中国でデジタルカメラを販売している
日本企業の総経理にお話をお聞きする機会があったのですが、
同氏は「日本では二番手や中ぐらいの機種が
一番売れるんだけれども、
中国では最高級機種から売れていくんだよなぁ」
と驚かれていました。
「詳しいスペックはよく分からないが何しろカネはある。
一番高いヤツを買っておけば間違いはないだろう」
という感じだったのでしょう。

そうした日本のバブル経済期のような、
何しろ「高くて良いモノ」を求める時期を経て、
最近では「性価比」がキーワードになってきました。
最近の不動産バブルの沈静化やインフレによる物価高も、
中国の人たちの消費心理に大きな影響を
与えているのかもしれません。

「価格に比べて品質の良いモノを買いたい」というのは、
冷静に考えてみれば当たり前のことなのですが、
それだけ中国の消費者の消費行動が、
成熟して冷静になってきたとも言えそうです。

コストパフォーマンスの良いモノを作ることは
日本のお家芸です。
成熟してきた中国の消費者に対して、
いかに日本製品の「性価比」の高さをアピールできるか。
これが今後、中国マーケットでの日本企業の成否を決める
ポイントになるのではないかと思います。


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2011年9月23日(金)

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