第1400回
なぜ中国人観光客の日本旅行は回復しないのか?

中国人観光客の日本旅行が回復しません。

東日本大震災以降、日本を訪れる中国人観光客数は、
毎月前年同月比50%近いマイナスが続いており、
7月も47%減の8万7,000人でした。

また、日本産の食品に対する忌避傾向も、
震災直後ほどではないにしてもいまだにあり、
日本の中国向けの食品輸出は
大きな打撃を受けているようです。

日本に住んで、毎日日本の食品を食べている
日本人のみなさんからすれば、
今の中国の人たちの行動は、
合理性を欠いた過剰反応にしか見えないと思います。
しかし、中国に住んでいると、
こうした中国の人たちの反応も
分からないでもない気がしてきます。
なぜなら、中国の人たちは日本政府の発表を
心の底からは信じていないからです。

「おたくの国の政府と一緒にせんでくれ!」
とも思うのですが、
福島原発が炉心溶融(メルトダウン)していたことが、
震災直後ではなく、
2ヶ月後に発表されていることなどを考えると、
日本政府が永遠に公表できない、
もっとシャレにならない事実を隠しているとも限らない、
という気もしてきます。

中国の人たちは政府が言うことを全く信じていません。

それは中国共産党うんぬんという最近の話ではなく、
先祖代々、遺伝子に刷り込まれているように思います。
逆に言えば、政府の話を鵜呑みにせず、
自分の目や耳や直感に頼って、
自分の身を自分で守ってきた人たちだけが生き残り、
現在の中国の人たちがあるのかもしれません。

このため中国の人たちに
「大阪や札幌は福島原発から
500km以上離れているから大丈夫ですよ」とか、
「沖縄の方が中国の東北三省より
福島原発から遠いんですよ」というような
事実に基づいた論理的な話をしても、
一応、頭では分かってもらえるのですが、体は動きません。
多分、遺伝子が
「日本政府は何かすごい事実を隠しているかもしれないぞ」、
「日本政府は大丈夫だと言っているけど、
本当は日本全土が放射能で汚染されているかもしれないぞ」
と耳元でささやき、体を動けなくしているのでしょう。

代々、ろくでもない王朝が続いてきた中国。
一方で、昔からお上の言うことを聞いていれば
間違いがなかった日本。

こうした両国の長い歴史の中で
人々の遺伝子に刷り込まれてきた政府の位置付けの差が、
現在の両国民の政府の発表に対する反応の違いとなって
表れているのではないか、と私は思います。


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2011年9月26日(月)

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