第1402回
理想的な民主化の形

国民が「ネット民主主義」、「暴動民主主義」、
「静かなる抗議民主主義」というような
様々な形で民意を表現し、
中国共産党がその民意を
無視できないような状況になっていることによって、
中国はすでに事実上の
「みなし民主主義国家」になっていると言えますが、
中国共産党自身もすでに、
従来の一党独裁体制の維持は不可能である、
と考えているように思います。

それは温家宝首相が演説の中で
頻繁に「政治改革の必要性」を訴えても、
一向に失脚する気配がないことからも分かります。
中国共産党の内部にはいろいろな意見があるようですが、
その議論の論点も
「政治改革をするか、しないか」ではなくて、
「政治改革をいつするか、どのようにするか」
ということであると思われます。

最近、北京市政府は市内に2,717ある
「社区(しゃーちゅぃー)」と呼ばれる地域コミュニティーの
居民委員会の委員の直接選挙選出率を、
2020年までに現在の11%から50%まで
高めるように求める意見を公表しました。

現在、居民委員会の委員は、
1.18歳以上の住民による直接選挙、
2.世帯代表による間接選挙、
3.住民代表による間接選挙、
という3つの方法で選ばれていますが、
中国共産党による思惑や操作が入り込みやすい
間接選挙の比率を下げて、
直接選挙の比率を上げることによって、
「社区」の運営により民意が反映されやすい
システムにしよう、ということなのでしょう。

中国の多くの国民は、中国共産党は大嫌いですが、
中国共産党一党独裁政権が打倒されることによる
国内情勢の混乱はもっとイヤだと思っています。
中国共産党の存在を
必要悪として認めている人が多いことも、
ノーベル賞を取った劉暁波氏の民主化運動や、
中国版ジャスミン革命が全く盛り上がらない
理由の1つなのではないでしょうか。

国民が連帯して中国共産党に圧力をかけ、
中国共産党が自ら民主化の方向に進んでいくように導いて、
ソフトランディングを図る。
これが中国の国民が望む、
最も理想的な民主化の形なのではないかと思います。


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2011年9月30日(金)

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