第1423回
競売の上海と抽選の北京

先月、上海で行われた車のナンバープレートの競売で、
平均落札価格が今年最高となる
5万4,008元(65万円)に達しました。

上海市政府は市内の渋滞や大気汚染を抑制するために、
車のナンバープレートの発給制限を行っています。
その発給方法は毎月競売を行い、
マイカーを欲しい人がナンバープレートを競り落とす、
という方式を採っています。

同市のナンバープレートの平均落札価格は、
今年1月以降10ヶ月連続で上昇を続けており、
年初からの上昇率は40%近くに達しているそうです。

中国では奇瑞(ちーるい)汽車の人気小型車「QQ」が
5万1,000元(61万円)で売られています。
今、上海では「QQ」を買っても、
ナンバープレート1枚に車1台よりも
高いおカネを払わなければならない、
という異常な事態が発生しているのです。

北京市政府も今年から市内の渋滞や
大気汚染の抑制のために、
1ヶ月のナンバープレート発給数を2万枚に制限する、
という規制を行っています。

しかし、北京の場合は競売ではなく、
純粋な抽選でナンバープレートの当選者が決まります。
落選した人は次の月に繰越となりますので、
競争率は上昇を続けて既に30倍を超えており、
市民の間からは「おカネはあっても、
一生マイカーに乗ることはできないのではないか」
という諦めの声が出始めています。

競売の上海と抽選の北京。

これはおカネで解決できることはおカネで解決する上海人と
メンツと機会平等を重んじる北京人の気質の差を
表しているものと思われます。
マイカーの増加数を抑制する、という目的は同じなのですが、
両市の政府は、市民の気質を知り尽くした上で、
多くの市民が受け入れやすい方法を検討したところ、
上海は競売、北京は抽選となったのでしょう。

その結果、ナンバープレート1枚の値段が
車1台の値段よりも高くなってしまった上海と、
競争率30倍の狭き門になってしまった北京。
どちらにしても、両市の市民にとって、
マイカー所有の夢がどんどん遠ざかっていることだけは
確かなようです。


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2011年11月18日(金)

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