第1428回
中国で娯楽番組の総量規制開始

中国では基本的に日本を始めとする
海外のテレビを見ることができません。
日本のテレビが見られるのは、
指定された外国人アパートメントと
ホテルぐらいのものです。

インターネット人口が5億人と総人口の40%近くに達し、
網民(わんみん、ネット市民)が
一部の反体制的なものを除いては、
海外の情報に自由にアクセスできるようになった現在でも、
海外のテレビに関しては厳しい規制がしかれています。

このため、私は中国に来た当初、日本に出張に行く度に、
日本のテレビを見ることが非常に楽しみでした。
しかし、最近では日本に行ってもテレビを見ることは
ほとんどなくなってしまいました。
なぜなら、作っている方々には申し訳ありませんが、
日本のテレビ番組、特にゴールデンタイムと呼ばれる
19:00〜22:00を占領している多くの娯楽番組の内容が
あまりにも低俗でくだらないからです。

この傾向は中国でも同じであるようです。

私が中国に来た15年前、中国のテレビ番組は
ニュースかドラマかプロパガンダ番組ぐらいしか
ありませんでしたので、見ていて本当に退屈でした。

しかし、最近では日本と同様、ゴールデンタイムは
各局ともほとんど娯楽番組で占められています。
どこの国でも資本主義化が進むと、
テレビ番組は視聴率が高くて、
CMの枠に高い値段を付けられるものが増え、
良質でも視聴者に人気のない番組は
どんどん淘汰されていってしまうんですな。

しかし、視聴率競争が始まると、悲しいかな、
番組の内容はどんどん低俗でくだらなくなるのも世の常で、
中国も例外ではありませんでした。
そこで、こうした事態を憂慮した中国政府は今回、
ゴールデンタイムに放送される娯楽番組の
総量規制に乗り出したのです。

具体的には毎日19:30〜22:00の
ゴールデンタイムに放送できる、
恋人募集、娯楽競技ゲーム、特技コンテストなどの
娯楽番組の数を、全国ネット局は9番組、
単独ネット局は2番組以下とし、
各番組は90分以内とする、ということになりました。
一方で、各局は毎日18:00〜23:30の時間帯に、
30分以上のニュース系番組を2番組以上
放送しなくてはならなくなりました。

日本政府がこんなことをしたら、
それこそ言論の自由、表現の自由の抑圧だ、
と大騒ぎになりそうですが、
私個人的には悪いことではないと思っています。

スポンサー企業のCMで成り立っているテレビ番組は、
人数がたくさんいて、尚且つ購買力がある人たちが
「見たい!」と思うものですから、
その国の国民のレベルを映す鏡であるとも言えます。

生活にある程度の娯楽が必要なのは理解しますが、
私たち日本人は政府に総量規制などされなくても、
低俗でくだらないテレビ番組のスイッチは自主的に消し、
テレビ局やスポンサー企業に対し、
諸外国のみなさんに見られても恥ずかしくない
良質な番組の制作を促すべきなのではないかと思います。





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2011年11月30日(水)

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