第1430回
なぜ中国の金持ちは外国に移民したがるのか?

中国の富裕層の研究をしている
民間調査機関・胡潤研究院が発表した
「2011年中国個人財産管理白書」によれば、
中国の1,000万元(1億2,000万円)以上の
財産を持つ富裕層の内、
14%は既に外国に移民したか、移民申請中であり、
46%は将来移民することを検討している、とのことです。

この調査報告は今年5−9月の間に中国国内18の主要都市で、
純資産額1,000万元以上の富裕層980人から
インタビュー形式で得たデータが元になっているのだそうです。
対象者の平均資産は6,000万元(7億2,000万円)以上で、
平均年齢は42歳とのことです。

上記の胡潤氏が今年5月に発表した
「2011胡潤財富調査」によれば、
中国の純資産額1,000万元以上の富裕層は
96万人とのことでしたので、
その60%、57万6,000人が外国への移民を
希望しているということになります。

なぜ中国の金持ちは外国に移民したがるのか?

それは子供の教育、医療水準、生活環境など、
様々な理由があると思いますが、
最大の理由は
「中国に居続けると何をされるかわからない」
ということだと思います。

中国には、高度経済成長の波に乗って
せっかく一代で巨万の富を築き上げても、
政府や役人の都合で、いつ身ぐるみ剥がされて、
一文無しに戻ってしまうかわからない怖さがあります。
その点、外国ならば個人の財産権は保証されていますので、
理不尽な理由で財産を取り上げられてしまう心配はありません。

このため、今、中国では
「高度経済成長に沸く中国で稼ぐだけ稼いだら、
蓄積した財産を持って外国に移民する」
というのがみんなが憧れる
一つの成功パターンとなっているのです。

しかし、こうした考えを持つ人が多い、ということは
中国にとっては大きな損失を意味します。
上記調査対象者の平均である
6,000万元の資産を持っている人が、
57万6,000人外国に移民したとすると、
中国からの資産流出額は34.6兆元(415兆円)。
これではケ小平氏が唱えた「先富論」の第1段階
「先に豊かになれる者から豊かになれ」が達成されても、
最も大切な第2段階「そして落伍した者を助けよ」を
実現することができません。

もちろん、不正な方法で得られた財産は、
海外に逃避する前に没収してしまうべきだと思います。
しかし、合法的に積み上げられた財産については、
中国政府は個人の財産権を本当の意味で保証し、
金持ちから財産を取り上げることによってではなく、
金持ちに安心して中国国内に留まってもらい、
彼らの消費によって「そして落伍した者を助けよ」を
実現させていく必要があるのではないかと思います。





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2011年12月5日(月)

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