第1431回
投資移民制度の導入で「日本のモナコ化」を

外国に移民したがる中国の金持ち。

6,000万元の資産を持っている人が、
57万6,000人外国に移民したとすると、
中国からの資産流出額は
34.6兆元(415兆円)となりますので、
中国にとっては大きな痛手ですが、
逆に、巨額の資産を持つ移民を受け入れる国から見れば、
これは大きなチャンスです。

このため、カナダ、オーストラリア、シンガポールなど
外国の富裕層に投資をしてもらいたい国では、
一定額を投資すればその国の永住権を得られる、という
投資移民制度を設けています。

移民先として中国人に最も人気のあるカナダの場合、
160万カナダドル(1億2,300万円)以上の資産を持ち、
内、80万カナダドル(6,150万円)を5年間、
カナダ政府認可の投資プログラムに投資することにより、
永住権を得ることができます。
永住権を手にすれば、世界最高水準の医療が無料、
英語での教育が高校までは無料、など、
カナダ国民と同等の権利が与えられることになります。

最近、投資移民制度を持つ国々が、
移民受け入れ条件のハードルを上げる動きが目立っていますが、
これは投資移民を受け入れたくないわけではなく、
ハードルを上げても投資移民はいくらでも来る、
という自信の表れなのではないかと思います。
何しろ、中国だけでも60万人近い
「潜在顧客」がいるわけですから...。

一方の日本には投資移民制度はありません。

これは国民の移民受け入れに対する
アレルギーが強いためであると思われますが、
治安が悪くなる、とか、雇用が奪われる、といった懸念は、
ヨーロッパのように貧乏人の移民を受け入れた場合の話です。
投資移民制度で金持ちに「だけ」来てもらえば、
治安が悪くなることもありませんし、
日本人の雇用が奪われるどころか、
むしろ雇用が増える可能性の方が大きいのです。

既に市場が成熟しており、
労働力人口の減少が続く日本が、
国内の力だけで経済成長を続けて、
増え続ける高齢者を養っていくのは
どう考えても無理です。

日本を破綻させないためには
世界のお金持ちに日本に来てもらい
日本におカネを落としてもらう「日本のモナコ化」と
日本人が成長する中国を始めとするアジア市場に
飛び出して行っておカネを稼いでくる
「アジア市場の内需化」が不可欠であると私は思っています。
移民を希望する中国人富裕層の資産415兆円は、
「日本のモナコ化」に当たっての大きなターゲットとなります。

日本も投資移民制度を早期に導入し、
モナコのように世界中の富裕層が来て
喜んでおカネを落としてくれるような国になることが、
労働力人口が減少するなかで、
単純労働者の移民を受け入れずに
増え続ける高齢者を養っていくための、
1つの方法なのではないかと思います。





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2011年12月7日(水)

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