第1435回
「冬」の到来に苦しむ街の不動産屋さん

今、中国不動産業界を襲っている「冬」は、
不動産開発業者や銀行などの大企業だけではなく、
街の不動産屋さんにも大きな影響を与えています。

不動産仲介大手・中原地産の幹部によれば、
今年7月に北京の不動産業界団体に
所属していた不動産屋は4,300店でしたが、
10月には3,673店まで減少、
3ヶ月で600店強、率にして約15%の不動産屋が
閉鎖に追い込まれたようだ、とのことです。

業界関係者によれば、街の不動産屋は
1店当たり毎月10万元(120万円)ほどの経費がかかり、
この経費をカバーするためには、
3件の中古住宅販売仲介か30件の賃貸仲介が
必要となるのだそうです。
しかし、10月の北京市の中古住宅販売総数は7,263件。
不動産屋総数3,673店で割ると
1店当たり2件弱にしかなりませんので、
今後も経費をカバーできずに潰れていく不動産屋が
続出することが予想されます。

日本の街の不動産屋さんは、
こうした不定期な仲介業務の他に不動産管理の仕事もしており、
毎月、一定の収入があるのでなかなか潰れないそうですが、
中国の不動産屋さんは
不定期な仲介業務だけしかやっていませんので、
買う人や借りる人が減るとすぐに潰れてしまうのです。

今、北京では残りの約85%の不動産屋が
生き残りをかけてしのぎを削っています。
今までは店に座っていれば、
買いたい人や借りたい人がいくらでも来てくれましたが、
今では「そんな待ちの営業では生き残れない!」ということで、
この寒空に物件ボードを持って街に出て、
道行く人に不動産の購入を勧める不動産屋さんを
見かけることも多くなってきました。

中国の不動産価格は長期的に見れば、
今後も更に上がっていくものと思われます。
しかし、その過程で
不動産バブルの「夏」と今のような「冬」が
交互に訪れることも予想されます。

今後、中国の街の不動産屋さんが
「冬」が来ても死なないようにするためには、
仲介業務の営業活動に力を入れることも大切ですが、
今回の「冬」の教訓を生かして、
仲介業務のみに頼る「狩猟民族」から、
日本の不動産屋さんのように不動産管理の仕事もする
「狩猟・農耕兼業型」に脱皮する必要が
あるのではないかと思います。





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2011年12月16日(金)

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