第1437回
日中タイムマシン経営の「早すぎるリスク」

上海にいよいよトランクルームが登場しました。

このトランクルームは、上海好易倉庫という会社が
地下鉄3号線「宝山路駅」に近いビルの4階に作ったもので、
860uのフロアに400室を用意するという
都市型のトランクルームです。

価格はサイズによって違いますが、
高さ2.2m、幅1.3m、奥行き1.0mの中サイズで
1ヶ月500元(6,000円)。
トランクルーム内の湿度は55-60%に保たれ、
警備も24時間体制なのだそうです。

トランクルームと言えば、
当社も倉庫業の一環として2008年に事業化を試みました。


「我的空間(うぉーだこんじぇん)」という商品名で、
上記のようなロゴまで作って自信満々で発売したのですが、
結果は日本人やその他の外国人、
海外経験のある中国人のお客様、
合計十数人にご利用を頂いただけで、
一般の中国人のお客様に広く普及させることはできませんでした。

私なりに考えた敗因は「早すぎた」です。

トランクルームが既に普及している国から来た外国人や、
そうした国に住んだことがある中国人の人たちは、
トランクルームとはどういうもので、
どうやって利用すればよいのか分かっています。
しかし、トランクルームという概念自体がない今の中国では、
みなさんおカネを払ってまでそんなものを利用しよう、
という気にすらならないようです。

今回開業した上海のトランクルームも、
400室のうちまだ70-80室と20%程度しか埋まっておらず、
同社がターゲットとしているのも
外国人や海外生活経験者である、とのことです。

私は常々、日本にはあるが中国にはまだない
モノやサービスを見つけて中国で販売する
「日中タイムマシン経営」をおススメしています。
このトランクルームも「日中タイムマシン経営」の1つですが、
乗ったタイムマシンが余りにも遠い未来に行き過ぎてしまうと
「早すぎるリスク」が発生し、
中国でその新商品の概念自体が普及するまでに
莫大なコストと時間と労力をかけることになってしまいます。

日本の便利なモノやサービスを中国で普及させることは、
非常に意義のある仕事ではありますが、
普及活動をしている間に資金が尽きてしまっては
元も子もありません。

特に、資金力がない当社のような中小企業にとっては、
中国で普及しつつあるモノやサービスの流れに乗って、
半歩先ぐらいの未来から新商品を持ってくる、というのが、
「早すぎるリスク」を回避する
最も有効な方法なのかもしれません。





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2011年12月21日(水)

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