第1469回
進む中国の海外農地買収

中国の食料自給率は現在生産額ベースで
95%と言われています。
しかし、その一方で、大豆に関しては
既に世界最大の輸入国となっています。

世界最大の大豆輸入国が、
どうして自給率95%を維持できているのか?

それは中国の食料自給率の計算には
小麦、米、とうもろこしなどの主食類は入っていますが、
大豆は入っていないからです。
ここに大豆を含めると、食料自給率は
70%ぐらいまで落ちるのだそうです。

中国政府としては、いざとなったら
小麦、米、とうもろこしなどの主食だけでも
国民は生きていけるので、
食べなくても死なない大豆は
食料自給率の計算からはずして、
食料自給率を高めに見せ、
いたずらに国民の不安を煽らないようにしよう、
ということなのでしょう。

一方の日本の食料自給率は
39%まで落ち込んでいると言われています。
しかし、これは国内農業保護の世論を醸成するために
自給率を低く見せる必要から、
世界にも例のないカロリーベースで表した
自給率を採用している、ということらしいです。
生産額ベースで計算すると日本の食料自給率は
中国とほぼ同レベルの69%なのだそうです。

高めに見せたい中国政府の95%と
低めに見せたい日本政府の39%。
両国の食料自給率には一見、
大きな差があるように見えますが、
同じ基準で計算し直すと、
両国とも自給率は70%前後となるようです。

中国政府は今後、用水路などのインフラ整備、
農業技術の革新、農業経営体制の刷新、
農家収入の増加などにより、
2020年時点でも「主食」食料自給率95%を
維持しようとしています。
しかし、どんどん豊かになっている中国の人たちが
いつまでも「主食」ばかり食べているわけもなく、
中国人の食生活の高度化に従って、
今後、「主食」食料自給率には表れない
食料の供給不足と輸入の急増、
そして国際相場の高騰が、
世界的な問題になることが予想されます。

そうした近未来を予測してか、
最近、中国政府のあり余る外貨準備を使った海外投資の軸足が、
資源から農業に移っていることを感じます。

ここ数ヶ月だけを見ても、
中国の企業代表団がオーストラリア貿易促進庁と
総額5億豪ドル(410億円)の農地獲得について協議、
中国企業が西アフリカ・シエラレオネ政府と、
総額12億米ドル(924億円)の
天然ゴムと米の農地開発契約に調印、
中国大手国有農業企業・北大荒集団が
西オーストラリア州の複数の農家と
合計8万ヘクタールの農地買収について交渉中などなど、
海外の農業分野への活発な投資活動が報道されています。

腹をすかせて怒った人ほど怖いものはありません。

空腹で怒り狂った国民に
中南海を包囲されるような事態を避けるためには、
中国政府は国内のみならず、
海外の農地からの農産物も総動員して、
13億人の国民の目の前にあるお皿に
食べ物を盛り続けなければならないのです。





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2012年3月2日(金)

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