第1493回
実店舗の利点

先日、「あと20年もすれば、
モノの実店舗での販売はなくなり、
全てネット販売に取って代わられるのではないか」
というお話をしました。

しかし、実店舗にはネット販売にはない利点もあります。

1つは、その場で実物に触ったり、
試着したりできることです。

特に、メーカーによってサイズが違う靴や、
素材の質感や色をパソコンの画面では
なかなか表現しにくい洋服などは、
ネット通販には「送られてきたモノを見てがっかり」
という不安が常につきまといます。

こうした消費者の不安を解消するために、
淘宝網には7日間無条件返品の制度がありますし、
0.5元(6.5円)の保険料で
返品時の送料を保険金で負担してもらえる
返品送料保険を買うこともできます。
これなら送られてきたモノのサイズが合わなかったり、
思っていたイメージと違ったり、ということがあっても、
気軽に返品や交換をすることができます。

また、どうしても実物を触ったり、
試着したりしてからでないと買いたくない、
という人たちのためには、
ネット店舗が各都市に1カ所ずつショールームを設ける、
というのも手だと思います。
消費者はそこで実物に触ったり、試着したりして、
問題がなければネットで注文を入れればよいのです。

このショールームはあくまでネット販売のためのものですので、
道に面していたり、ショッピングセンターの中にある必要はなく、
極端な話、オフィスビルやマンションの一室でも問題はありません。
また、その場でモノを売るための店舗ではありませんので、
1つの都市に何カ所も出店して、
高い家賃や人件費に悩まされる必要もありません。

実店舗のもう一つの利点は、
消費者自身も気付いていなかった需要を
掘り起こせることです。

他のモノを買うためにショッピングモールに行ったときに、
違う店でステキな雑貨を見つけた、とか、
街を歩いていてフラッと入ったお店で、
偶然、気に入った服に出会った、というような経験は
みなさんもお持ちなのではないでしょうか。

淘宝網は現時点では消費者が「欲しい!」と思ったモノを
即座に探す検索能力には長けていますが、
目的なくフラッと立ち寄った消費者に、
「こんなステキなモノがあるんですが、いかがですか」
と提案する能力はありません。

しかし、この欠点も日本のアマゾンのように、
過去の買い物履歴からその人が好きそうな
関連商品や新製品をおススメする機能で
カバーできるのではないかと思います。
この技術を使えば、淘宝網も今後、
実店舗のような「偶然の出会い」を
実現することができるようになるのではないでしょうか。

実店舗よりまだまだ劣るところがあるネット販売。
しかし、ネット販売は今後、実店舗の利点を取り込みながら、
どんどん使いやすく進化していくのではないかと思います。





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2012年4月27日(金)

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