第1504回
ナスダックより深セン創業板

納斯達克上市(なすだーかーしゃんしー、ナスダック市場上場)。

これは今まで多くの中国のベンチャー企業にとっての夢でした。
上海でも、深センでも、香港でもなく、ニューヨークで上場する。
上場を成し遂げた企業にとっては、
それは大きなステータスでもありました。

しかし、最近、その風向きが変わってきています。

先日、中国の動画配信サービス大手・北京暴風科技は、
株式上場先を当初目標としていたナスダック市場から
深セン証券取引所の新興企業向け市場・創業板に変更しました。

この北京暴風科技は2003年に設立。
動画再生ソフト「暴風影音(ばおふぉんいんいん)」を開発し、
中国で一時シェア70%以上を獲得、
2008年には「暴風影音」にファイル交換機能を追加し、
インターネットを利用した映像配信サービスに参入した会社です。

その伸び盛りの会社が、
上場先をあこがれのナスダックから
深セン創業板に変更したのは、
現在、ニューヨークの株式市場では、
米国の投資家の中国企業に対する信頼が
地に落ちてしまっているためです。

昨年、ニューヨークの株式市場では、
上場している中国企業の粉飾決算が相次いで発覚し、
それらの銘柄は取引停止となりました。
このため多くの米国の投資家は、
自分が株を保有している中国企業も粉飾決算をしていて、
取引停止になったらたまらない、と考え、
中国企業であるというだけで、
株の購入を敬遠する動きが広がりました。

このため、ニューヨークの株式市場の株価は
持ち直してきているにも関わらず、
多くの中国企業の株価は低迷を続けており、
これが北京暴風科技をしてその上場先を
ナスダックから深セン創業板に変更せしめたのでした。

しかし、上場先を米国から中国に変えれば問題が解決するのか、
というとそんなこともないような気がします。
なぜなら、多くの中国の投資家も
中国の株式市場に上場している中国企業の決算内容を
信用していないからです。

中国の株式市場は低迷が続いています。

中国政府の不動産価格抑制政策で不動産価格が下落に転じた今、
不動産市場から逃げ出した資金が代替投資先としての
株式市場に流れ込んでもおかしくないのですが、
そうした動きがまったく感じられないのは、
中国の投資家の株式市場、ひいては中国企業に対する
信頼の欠如によるところが大きいのではないかと思います。

ニューヨーク市場か中国市場かに関わらず、
上場している中国企業の資金調達が困難になれば、
中国経済全体にも悪い影響が及びます。

そうした状況を避けるためには、
中国政府は粉飾決算を行った企業を厳罰に処すると共に、
上場している中国企業の決算を
厳重にチェックするシステムを構築し、
投資家の中国企業に対する信頼を取り戻していく
必要があるのではないかと思います。





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2012年5月23日(水)

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