第1545回
日本人の特長と中国人の特長

「日本の良いモノやサービスを
中国のみなさんに享受して頂くとともに、
中国マーケットへの日本人のアクセスを先導する」。

これが中国でビジネスをする日本人である私が、
今後、果たしていくべき使命であると考えています。

将来的にますます要求が高くなる中国の消費者に、
日本の良いモノやサービスを提供していくこと。
そして、労働力人口の減少と高齢者の増加で、
海外からの資金流入が不可欠となる日本に、
中国マーケットからの資金を送り込むこと。

こうしたことが実現できれば、
日本と中国はwin-win、共存共栄の関係を築き、
より多くの両国民が今より更に幸せに
暮らせるようになるのではないかと思っています。

そのためには、日本人は
「サービス精神」、「生真面目さ」、
「完璧主義」、「チームワーク」など、
中国の人たちには簡単にマネのできない、
日本人ならではの特長を
堅持していかなければならないのですが、
こうした日本人の特長は時として、
ビジネスの邪魔になることもあります。

お客様至上主義の「サービス精神」は現場を疲弊させ、
融通が利かない「生真面目さ」は取引先をいらつかせ、
時間がかかりすぎる「完璧主義」でビジネスチャンスを逸し、
烏合の衆の「チームワーク」は何も決断できない
組織を作ってしまう可能性があります。

そんなときに頼りになるのが中国人の力です。

中国人の「合理性」は無駄なサービスを省き、
「柔軟性」は物事をスムーズに運ばせ、
「決断の速さ」は市場の変化を的確に捉え、
「独立心」は事業を前に進める推進力となります。
日本人が苦手とする部分は、
中国人の助けを借りればよいのです。

しかし、こうした中国人の特長は、
一歩間違えるととんでもない欠点となります。

「合理性」に基づいた全く心がこもっていないサービス、
「柔軟性」がありすぎてコロコロと変わる予定、
「決断の速さ」が招く欠陥だらけのモノやサービス、
「独立心」が引き起こす暴走。

こうした中国人の欠点は逆に、
日本人が補うことができます。

「サービス精神」と「合理性」。
「生真面目さ」と「柔軟性」。
「完璧主義」と「決断の速さ」。
「チームワーク」と「独立心」。

全く正反対の特長を持つ日本人と中国人。
両者が対立するのではなく、
一緒に働いてお互いに相手の長所を活かし、
欠点を補い合うことによって、
新たな付加価値を生み出す。

これが今後、日本人と中国人が歩むべき、
理想の姿なのではないかと思います。


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2012年8月29日(水)

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