■柳田洋・北京からの画像便り No.208 ■


刻章、弁証、発票

うちの近所の歩道に押されていたハンコです。
こうした商売の宣伝方法は、以前は手書きや、
シールが主流だったのですが、
「コストが安くて、手間もかからない」ということで、
最近は歩道にハンコを押す業者が増えています。
刻章とはハンコ彫り、弁証とは証明書の手続、
発票とは領収書のことです。
一見、まともな商売のように見えますが、
全て違法な商売です。
刻章は「公章(ごんぢゃん)」と呼ばれる、
公安局指定のハンコ屋さんしか作ってはいけない
企業の公印を偽造してニセの契約書を作るために、
弁証は就職するときなどに、就職先に提出する
証明書類を偽造するために、
発票は税務局しか発行できない領収書を買って、
会社の経費を不正に引き出したり、
税金をごまかしたりするために使われます。
違法な商売なのに電話番号なんか書いて大丈夫なのか、
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
この書き方だけでは
「うちは普通のゴム印を作ってるだけですよ」とか、
「証明書の手続代行をしてるだけですよ」とか、
いくらでも逃げることができます。
公安局は本気で違法業者を取り締まろうとしたら、
おとり捜査でもして現行犯で捕まえるしかないのです。

撮影日:2006年10月15日(日)
撮影:柳田洋


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