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65. 日本人にはわからない中国(2)〜中国市場の特殊性〜
最近、エアコンが壊れました。
ハイアールという会社のエアコンでした。
ハイアールはアフターサービスに評判のいい企業で、
たしかに連絡をするとすぐにメンテマンが部屋まで来てくれました。
しかし、どうやら修理にはかなり手間がかるらしく、
「明日もう一度工具と材料を持ってきますので。」ということになりました。

私の注意を引いたのはその次の言葉でした。

「すみません、もし本部のほうから電話があったら、
"今日直りました。"って言ってもらえませんか。」

「???」

なんでそんなことを言うのか聞いてみたら、

「いや、修理はその日に完了する規定で、
規定の時間を越えると罰金が発生するんですよ。」

ということでした。

後日、このことを商売敵で我々の店舗でも使っている
グーリー(Gree)に冗談で話したら、

「ハイアールは商品の質ではなくて、アフターサービスで顧客を集めているんです。
確かに、電話したら来るのは早いし、だいたいは当日に直しますけど、
でも聞いた話では、ハイアールのエアコンの故障率は30%近いってことですよ。
一方、うちのGreeのエアコンはめったに壊れません。」

まあ、30%なんて数値はありえないと思いますが、
どうやらハイアールに故障が多いのは本当のようです。

ここまで、聞いて、
ハイアールとグーリーの企業戦略というか思想の違いがはっきりと感じられました。

ハイアールは生産管理や品質チェックにコストをかけるよりも、
故障をある程度前提にしてアフターサービスに資金を集中させる。
そのことで、前工程の投資が軽減できる、
アフターサービスに資金をかけすばやく対応し「顧客サービスで差別化」ができる。

グーリーはむしろ生産管理や品質チェックに資金を集中させ、
製品単価は上がっても故障をおこさず
長期的に顧客に満足してもらうことで「品質で差別化」をする。

私としては、より日本企業に近いグーリーに親近感をもつのですが、
短期的にはハイアールの企業戦略も市場にうけそうです。

9393の訪問者の方々は、株に興味がある方も多いと思いますが、
こういった企業戦略も株購入の参考にされてはどうでしょうか。

次回は、「そのやり方はないんじゃない。」という企業を紹介します。


2008年6月16日(月) <<前へ  次へ>>