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74. 一所懸命働く馬鹿者

すみません。わざとこんなタイトルつけました。
もちろん一所懸命働くことを大切だと思っていますので、
一所懸命働いている皆さん、怒らないでくださいね。

でも、この一所懸命と“成果”というのは、
直接関係無いこともあるのです。

昔、会社に勤めていた頃、
私もそれこそほんとに一所懸命でした。

そうやってがんばって働くことで自分の収入が確実に増え、
豊かになれると信じていました。
実際、私の給与は一歩一歩上がっていき、
友人からはうらやましがられるほどの水準になりました。
そして、もっと頑張ればもっとあがるんだと思っていました。

しかし、当時、夜中の2・3時に会社を出て帰宅し、
朝9時ごろには会社にいるという生活で、
それはそれで結構大変でしたし、
その自分に更に鞭を打ち努力を重ねるのは
簡単なことではありませんでした。
まわりで出世をしているのはそんなタイプでしたが。

ある時ふと自分に聞いていました。

「今の2倍頑張ると給与は2倍になるか?」
「たぶんなる。」
「では、10倍頑張ると給与は10倍になるか?」
「・・・。」

なるわけがありません。
当時の私の頑張りの10倍なんて人間の限界を超えてますし、
一方、10倍の給与をもらっている人間を見ると
結構余裕があるものです。

つまり、努力の延長線上に少なくとも金銭的な
豊かさはないということははっきりしていました。

努力にとってかわるものは何か、それが成果であり、
その成果をあげるのが付加価値です。

いつもながら私のお師匠の例で恐縮ですが、
邱先生は基本的に会議というものをしません。
成都に来たときも、いつもお茶を飲みながら
おしゃべりをするのです。
このおしゃべりの中で私たちは、
いろいろな相談ごとをするわけですが、
何気ない、先生の一言や、冗談でもりあがりながら、
重要なことを簡単(そう)に決めていきます。

最初のころ、私は外資系仕込の会議の進め方、
最高のファシリテーション技法で頭ががちがちでしたので、
この決断の進め方に度肝を抜かれました。

しかし、そうした判断が実に的確で、
そして、実にリラックスした状態でそれを行っていくのです。

「あ〜、これが成功を重ねた人間の成果の出し方か。」

と感銘をうけたことを覚えています。

誠実な努力は大切です。しかし、
成果、価値の出し方を自分なりに考える必要があるのです。

10倍稼いでいるやつが10倍働いているわけではないことは
明白な事実です。


2008年8月18日(月) <<前へ  次へ>>