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99.上を目指すならまず最高の部下たれ

お金に困り始めた引越しのアルバイトで、
職場の加藤さんという人に散々つらい目に合わされました。

前回も書きましたが、
時代錯誤のパンチパーマと色つきメガネですから、
怖くないといえばうそになりますが、
見てくれだけでなく、ほんとうに怖いのです。

荒っぽい口の利き方や態度、同じミスを2度しようものなら、
ほんもののパンチが飛んできそうな勢いでした。

引越しの職場では、毎日つく人が変わるのですが、
当日の朝ローテーション表を見て
この加藤さんにあたったことがわかったときは、
その瞬間、心がガーンという音をたてて
沈んでいくのが聞こえたものです。

一方、怖いだけあって(!?)、
加藤さんの仕事は見事なものでした。
私はひたすら加藤さんの仕事の要求にこたえるべく、
次に指示をされる内容を考え、ちょっとでも暇があれば、
まだやったことのないタンスや大型テレビ等の
ヘビー級家具のベランダ吊りといった技術を習得すべく、
加藤さんのそばにいって勉強をしました。

数回もすると加藤さんの要求が手にとるようにわかるようになり、
加藤さんが口に出すものは
すべていわれた瞬間には準備が終わっているような状態になり、
それ以降は加藤さんも私には何にも言わなくなりました。

仕事で認めるとこういう人は突然変わるのです。

その日も一日2件の引越しを終え
加藤さんとトラックで事務所に戻る途中、
「おいキム。」
「はい。」
「韓国っつーのは、きれいなねえちゃん、いっぱいおるんかいな。」
とこれまで、一切しなかったような話題を突然ふってきました。
私は、はりきって韓国の美女事情と整形美人事情を話すと、
とても満足そうな顔をしていました。

この時、「あっ、俺認められたな。」と、
妙に嬉しかったことをいまでも覚えています。

後にコンサルタントになったとき、
最初の2年はまったくボスに評価されませんでした。
今思えばそれもそのはずで、
当時は自分の考えた提案の内容の正しさ、
そして自分の優秀性を他人に認めさせるために
仕事をしていたからでした。

3年間努力をして、なお認められない自分を反省したとき、
引越しで加藤さんから学んだことを思い出しました。
当時、私の直属のマネージャーが描く、
クライアントに対する最終提案イメージに
時にそむくような資料づくりをよくしていました。

コンサルタントの世界は、上下関係があるとはいえ、
結局はプロとして優秀かどうかが生存をわけるのです。
ですから、私はひたすら
自分が正しいと思えることのみをやっていました。

自分のマネージャーが考える
ストーリーラインの奥深さを尊重することなく、
暴走していた自分を大きく反省した瞬間から変わっていきました。

それは、プロとしての自分を押し殺すということではなく、
プロとして他のプロと協調するということだったのです。

若くて勢いのある人間であればあるほどそうですが、
必ずといっていいほど、
自分の正しさを証明するために仕事をするものです。
それは、成長の1つの過程と捕らえることもできるのですが、
こういうメンタリティーでは
実はプロとしての成長は望めないのです。

自分の上司にプロとして仕える、
顧客にプロとして仕える、
市場に対してプロとして仕える。
対象が誰であれ、相手のことを思い
プロフェッショナルとして仕えることができる人間のみが
成長を獲得していくのです。

最高の部下になることが上を目指す前提条件です

このことを、引越しとコンサルティングという
プロの仕事場で学んだのでした。


2009年2月9日(月)

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