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137. 雲南省の奥地より

今、私は雲南省の奥地、ミャンマーの国境近くの保山市にいます。
一昨日、私どもの邱公館コーヒーの会議を昆明で終え
一人山奥へと進みました。

私がはじめてこの地を足にしたのは2005年3月1日だったはずです。
私がまだ邱永漢グループに入る前、
それを決めるための旅として
邱先生と初めてご一緒させていただいたツアーでした。

このコーヒー農園を見て聞いて、
そして先生に私なりの企画書を出したことが
邱先生にグループ入りお許しいただいたきっかけになった話は、
このコラムの始まりのところでご紹介ましたが、
当時私がこのコーヒー事業に関わるとは
夢にも思っていませんでした。

しかしながら人生という旅の旅程の中で、
私がここに行き着いているのもまあ何かのご縁でしょうから、
今はこうしてコーヒー事業に傾注しているわけです。

約5年前の記憶とはまったく違う保山がそこにはありました。

わかりません、変わったのは保山の私たちの加工場なのか、
それとも私なのか。

変わっていないのは、溢れた大自然でした。
今回、自社の農場を含めて、
5・6箇所のコーヒー農園を回りましたが、
でこぼこ道を駆け抜けて、
まるで車のレースに参加しているように
体がシートから軽く20cmは話されるようなドライブを
数時間繰り返して次から次へと回りました。
そうしてたくさんの大自然、コーヒー農園と触れ合うにつれて、
不思議な感覚が私の中にどんどん入り込んできました。

実を言うと、私はこの40年近い人生の中で
農業や農作物に興味をもったことが一度もありませんでした。
―正確には、飲食業をと営む人間として、
商品・経営資源としての食物、
そしてその品質や安全性には大いに興味を持っていましたが。
―だから、最近の邱先生の農業に対する熱い思いや傾注も、
時代やマクロ経済の流れという頭の理解としては
非常に同感していたのですが、
体からそれに反応していたのはありません。

ところが、今回農地を回り、木に触れ、
農民の皆さんと触れ合い彼らの写真をとるごとに、
私の中で農地や農業、そして農業を行う人々への
リスペクトが生まれてきました。

そして、農地を去るときには
もうすでにそれは農業や自然への愛情とも感じられるほどの
強い気持ちに変わっていました。

保山を離れる最後の夜は、
朝の5時近くになっても興奮した頭が私の疲れた体に
眠りを許してくれませんでした。

これから、数回のコラムは
きっとこのことばかりを書くと思いますが、
農業熱にうなされた人間の戯言だと思って
どうぞお付き合いください。

2009年11月9日(月)

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