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141. 農作物に学んだ人の育て方

農業に大いなる関心を抱いている私シリーズは
いったん今回でまとめておきます。
興味はまだまだ尽きないのですが。
私が農場に身を置いているときに、
一番最初にそして直接的に感動を覚えたのは、
今回の内容だったように思います。

一言で言うと、自然は人知を越えた科学の結集であり、
また人の愛情に素直にこたえる
子供のようなものだなと思ったのです。

自社のコーヒー農園で私はいろいろなことに興味を持ち、
農業のプロフェッショナルである田代夫妻に
いろいろな質問をしました。
その中に、コーヒーの木の育て方という内容もありました。

コーヒーの木を育てるのには、
ただ単にたくさん栄養をやって
大きく育てればよいわけではありません。
しっかりと実をつけさせ適切な背の丈にしてやる必要があります。
しっかりと実をつけるには、栄養をやって、除草をしてやり、
太陽と光をやるだけではだめです。

たとえば、だいたい50cmぐらいの背丈になったら
一度頭をちょこんと切ってやり、いったん横に広げてやります。
こうすると、木は今まで
背丈を伸ばそう伸ばそうとしていたのに変わって、
自分のウエストを太らしたり、
枝にたくさんの身をつける方向に栄養を使い始めます。
もちろん、枝の数も増やそうとしますので、
それは適切に処置をして
優良な枝だけを選別してやる必要があります。

こうしてやると、木は自然と
おいしいコーヒーをたっぷりとつけるようになるのです。

うちの専門家の田代に言わせると、
「農作物は適切な環境さえ準備してやれば
“自然と”とても健康に育ちます。
人間は少しだけそれを手助けしてやればいいのです。」と。

私はこれを聞いて突如思ったことがあります。
普段無理やり部下の能力を伸ばそうとしている自分についてです。

「木は適切な環境下では自然と成長する。」

「人間は、適切な環境下では自然と成長する。」

あまり大げさなことを言うのも憚られますが、人間も大自然の一部。
自然界の道理が人間に当てはまらないわけがありません。

このことを聞いた後、
自分の部下人材育成方法を深く思いなおすと同時に、
肩から少し力が抜けていくような感覚がありました。

「部下にとって適切な環境が何かを見極め、
そしてそれを準備してやればいい。」
「早すぎる成長ではなく、
しっかりと適切なスピードで実をつけてさえやればいい。」
「それだけでいい。」

私が今回の農園ツアーの中で感じ取った、
もしかしたら最大のメッセージかもしれません。

こうした自然からの気づきの積み重ねが、私の中で農業に対する、
そして農業を営む人々に対するリスペクトに変わっていったのです。

ここ数回農業に関することを書きすぎたので、
年明けにまた少し書くことにしますが、まだまだ書き足りませんね。


2009年12月7日(月)

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