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142. もう大金持ちになりたくなくなりました(1)

子供みたいなことを言うようですが、
私は中国に来るにあたっては大金持ちになりたいと思ってきました。
正直、お金儲けの神様と一緒に仕事ができればそうなれるかも、
と根拠もなく淡い期待をしていました。
また、ずっと自分がそうなれると思ってきました。

自分の力不足を感じたとか、自分に対する自信をなくしたとか、
そういう理由は一切ありませんが、
最近、大金持ちになる興味を失ってきました。

大金持ちになりたくないその5つの理由を書きます。

1)どうやら大金持ちもそんなに大して愉快なことではないらしい
邱先生と一緒に仕事をしていると、
世で言う大金持ちや大事業家といわれる方と
よく会う機会があります。
こういった経験の中で、そういう人たちが
皆輝いているわけではないことにおのずと気づいてきます。
また、お金と人格の反比例なんかも目の当たりにすると、
なんだか大金持ちに対して
自分の中にあった羨望の気持ちが消えていくのです。

2)そもそも大金持ちになりたい理由は単なる自己顕示欲にあった
少し私のことを書きますと、
私は在日韓国人の三世として日本に生まれたわけですが、
幼少のころから見てきた私の祖父や父にあたる
在日韓国人の1・2世の成功に対する欲望の強さは
相当なものがありました。
年寄りに聞くとそれは日本の社会に差別を受けた反発で、
経済的な成功を収めてどうしても世の中を見返したい、
自分の社会的な立場を金で示したいという
顕示欲の現われだったようです。
私の父も若くして金持ちになったひとりですが、
高校の卒業式の日に、クラスでただ一人進路が決まらず、
それに腐って卒業式をひとりボイコットし
九州に列車の旅にでたという
ちょっとしゃれた(!?)人間の一人です。

翻って私はどうか?
20歳で事業家に将来なりたいなと思った私の根底にも、
若さゆえの旺盛な自己顕示欲が存在していたことは隠せません。
それを若い私は、「良心的な大金持ちになる。」とか
「社会貢献をするために事業家として大成功する」などといった
嘘の言葉で自分を飾っていました。
そして、それは多かれ少なかれ中国に来るときまで、
いや正確にはつい最近まで存在していたのです。

(続く)


2009年12月14日(月)

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