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147. 驕る平家は久しからず

2回前のコラムの最後に、
私は自分のことを成功者と考えているわけではないですよ、
と敢えて書きましたが、
私が一番気をつけていることが
自分を過信しおごってしまうことです。

先日もとあるパーティーで驕る企業と驕る人々を目の当たりにし、
「いやいや自分も気をつけねば。」と思ったしだいですが、
驕りの怖いところは、
“自分でそれに気づきにくい”こところにあります。

私もだんだんいろいろな職位をいただくようになってきました。
すると、皆さんから丁寧に扱っていただくことも増えてきます。
ましてや自分の従業員なら、私に人一倍気を使うはずです。

その中で、自分の態度や言葉が横柄になってしまいがちなのです。

これはすごく怖い。

自分がちょっと余裕をなくしていたり、
忙しすぎて事を早く廻そうとしすぎたりすると
だんだんそういった横柄さや命令口調が増えてきます。

逆に、人間の心はそういう自身の態度と呼応してあたかも
“俺は偉い”というような思い込みを持つものです。

正直にいうと、威張るというのは気持ちのいいものです。
だって、職位上威張ったって人は言うことを聞きますし、
人に言うことを聞いてもらえるということは(少なくとも表面上は)
自分を肯定してもらっているということに他ならないからです。

私は、かような“気持ちいい状態”にとても気をつけています。

「おいおい最近なんか気持ちよくなってないか?」
(へんな質問ですが)

と自分で警告を発する時、
ふとスピードを緩めて自分を客観的に見つめること。
いわゆる冷静になることを心がけています

これは、メディアに出始めた経営者というのも同じだと思います。
私にも、現地のメディアの取材がくることがあります。
なにぜ、ちょっと変わった経歴の外国人ですから、
ネタとしては面白いのでしょう。

が、特別な場合を除いてお断りしています。

第一に、有名になりたくないこと。
街の大勢の人が自分を知っていて、レストランに行くたびに
人に指を刺されるなんて、私の価値観からすると最悪です。

第二に、企業の中心は従業員であるべきであって
私ではないと思っていること。

第三に、メディアにでることできっと
“気持ちよくなっちゃう自分”が容易に予測できること。

もっと突っ込んで言うと、
私はこのコラムを書くことも時にためらいます。

だって書く以上は絶対にいいこと書きたいじゃないですか。
その時に、心から誠実に思っていることじゃなくて、
「こう書いたら格好いいだろうな。」
って思いながら書くことがあるんです、人間だから。

そういうときのコラムは後で自分で読むと、
すぐに嘘だとわかるんです。

そういう嘘を重ねてうそつきになることが私はこわいんです。

すみません、いつも自分の心の呟きばかり書いて。
きっとこういうコラムを書くって事は、
既に驕ってるんですよ私は・・・。


2010年1月18日(月)

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