トップページ > 成功の都「成都」からの便り > バックナンバー

   毎週月曜日更新

「お金儲けの神様」の喜ばせ方

「いつまでここにいるつもりなの?
三全公寓だってタダじゃないんだよ。」

私が、邱永漢グループに入った初日、
北京でぼやぼや滞在していた朝食時に言われた言葉でした。
私が唯一先生に叱られた時でした。
びっくりして、その日に日本に帰りました。

・・・。

邱永漢学校の学生として7年間たくさん学びました。
いつかは来るこの日を覚悟しながら過ごしてきたここ数年ですが、
大好きだったお師匠ゆえに、今は最高に寂しい。

いつも先生の声を聞いていました。
たくさんの言葉が耳に残り、
今では「こんな時にはこんな事を言うだろうな」と、
ほとんどわかるようになりました。

格好つけ屋でダンディズムにこだわり現実主義の先生が、
我々がしんみりしている姿を見たら、間違いなく怒ります。
何て言うかまでわかります。

これから、どうするか。

先生の思想と魂を継承し事業を継続し約束を果たす事。

邱永漢をして、一番難しい業態と言わしめた
レストラン事業を授かった私。
先生の想像を越えた事業体をつくりあげ、約束通り上場すること。

上場にあれほど反対する論調を書いておきながら、
「キム君上場するらしいよ。」
と嬉しそうに触れ回ってくれた先生。

その一方、「上場したら、僕は株主おりるからね。」
と私を試すように厳しい口調で言われても、
私は譲りませんでした。

先生よくわかっています、言わんとすることは。
でも私は、それでも決めたんですから。

「お金儲けの神様」の喜ばせ方わかりますか?

・・・。

「いつまでも日本にいてもしょうがないでしょ。
もう僕いないんだから。」

そんな声が聞こえそうで、日本で先生を見送った後、
誰よりも早く中国に戻り仕事につきました。

先生、ご安心あれ。
いっぱい儲けて報告に行きますから。

「そんなに儲かっちゃったの!?」

笑顔いっぱいで喜んでくれる顔が
私にはもう見えています。


2012年5月28日(月)

<<前へ  次へ>>