トップページ > 成功の都「成都」からの便り > バックナンバー

   毎週月曜日更新

275.中国人は1年回収、日本人は5年回収

「日本人にしかできないことをやれ」
という言葉は私のコラムでも度々紹介している通り、
お師匠の言葉のなかでも、
中国で事業を営むものの指針となるものです。

しかしながら、それを表面上にとらえて、
日本人の特徴として、まじめで勤勉であるとか、
きちんとしているとかという言葉に落としてしまえば、
なんだか陳腐な置き換えをしてしまったような気がします。

この言葉の答えは、
自分で考えてひねり出すところにみそがあると思いますが
(そういう意味では、お師匠は質問の天才だったと思います)
私は最近こんなことを思っています。

「辛抱強さ」

なんだか、先に自分が言った勤勉という言葉と
そう変わらないようですが、
一般的に中国の商人は投資回収期間を大変短く見ます。
それこそ1年回収なんて当たり前で、
3年で回収なんていったら、ちょっと呆れられてしまいます。

一方で、日本の商売は、
(まあ、わたしがここで商売と呼んでいるのは、
普通の飲食店をまずは想定しますが)
5年回収が普通だったりします。

では、私はこの日本の常識を良しとして
物を発言しているのかといえば、実はそうでもなくて、
実際に1年回収のレストランモデルを開発中だし、
中国の投資回収期間の短さには、
商人としてせっかちだという要素以外に、
中国といういつ荒波や台風が来るかもしれないお天気の土俵で、
あまり遠い将来にまでわたって
儲けられると考える方が間違っている
というのが実際だと思います。

このような事業環境ですから、
投資回収期間は短ければ短いほど安全なわけです。

そうすると、5年先を考えた
“しっかりとした投資”が出来なくなるわけです。

私はこれを中国を理解しすぎた人間のリスクとして
自分に言い聞かせています。

長期に渡り、短期的な利益にとらわれる事なく、
しっかり続けるビジネスの中にしか本物は育ってこない。
これをやれる人がいなくなったら
世の中ハリボテみたいな社会になってしまう。

時間がかかるからこそ、他人に真似されない、
真似出来ない物が創れるわけであって、
それが企業の価値になるわけです。

「どうしても時間がかかること。」
「継続しないとなし得ない事。」


2012年7月9日(月)

<<前へ  次へ>>