トップページ > 絶世美人便り > バックナンバー

   毎週金曜日更新

224.中国の百貨店は不思議だらけ

私が住む北京を始めとする、
東側の発展した都市のGDP成長は控えめになり、
中国の内陸部に発展のチャンスが移る「西高東低」時代ですが、
乱発された不動産開発のおかげで
都市部の百貨店は過当競争の時代になっているようです。

それでも北京に次々とできる百貨店。
ルイヴィトン、グッチなど高級ブランドから始まり、
H&M、ZARA、ユニクロ、ONLYといった
百貨店お決まりブランドが入っています。
3~5キロ圏内に何かしらモールがあるので、
私の生活圏内も小さい範囲に限定されてしまいます。

中国の百貨店の仕事と言うと、まず一等地を囲い込む。
ビルが出来ると販売スペースを又貸して稼ぐ人がいて、
販売しているものはというと、
特徴のないものというケースが山ほどあります。
私の友人たちの多くは、
調味料や家電、家具、ペットの餌やトイレ用品まで
インターネットで購入し、食材もスーパーの配達で済ませます。
外出するときは友人と会うときくらいで、
出不精というのでしょうか、逆に言うと、
色々な街を訪れて買い物する楽しみがないせいかとも思います。

百貨店は都市部の多様な需要を掘り下げるというよりも、
発展途上のチャンスの多い中小都市に横展開するのに
忙しいせいなのかもしれません。
天津で中国百貨店業界トップ討論会が開催され、
中国の未成熟な百貨店ビジネスについて、
日本の専門家も交えて議論がかわされたそうです。
「日本では、70年代は価格重視、80年代は品質重視、
90年代は色重視、2000年以降は消費行動の変化を重視」
という歴史をふんできて、
現在は「顧客目線に立った専門のサービス」を重視し、
それに従ったブランドを用意している、
というようなことが記事になっていました。

会議の場で日本百貨店協会の飯岡瀬一さんは
「中国のサービスにかけているのは、微笑みです。
微笑みなくしてお客さんを心地よくさせ、
信任を得ることはできない」と講演されたそうです。
まさしくその通りと思います。
店員さんに「何を買いたいんですか?」と
表情もかえずに声をかけられ、
落ち着いて商品を見定めることも出来ないですが、
それを尻目に、いい物を見つけたらネットで安く買おう、
という人が多いのではないでしょうか。

街やデパートごとに特徴があって、
販売員さんがいろいろ知識を増やしてくれて、
衝動買いするというような
楽しいショッピング体験をしたいものですが、
それは内陸部への横展開が一段落した後まで
待たなければならないのでしょうか。


絶世の活動情報 : www.zessei.com


2012年4月27日

<<前へ  次へ>>