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223.匿名に酔いつぶれて

中国ではインターネットの実名制を段階的にすすめています。
みなさんは実名制についてどう思いますか?
中国は、政治的に実名制の必要に迫られているので、
この議論がとても盛んです。

言論の自由が制限される中国では、
インターネットの世界に自由な表現の場をもとめて、
急速にネット産業が盛んになり、
GDPに占める割合は5.5%と世界でも高い水準になりました。
電子ショッピングモール、電子決済サイト、店舗評価サイト、
グループ購入、ソーシャルネット、チャット、つぶやき、
掲示板などなど、全て中国自前のものがあります。
また、中国の腐敗政治や不道徳行為の摘発に一役買って、
世論を形成したりしています。

中国政府が恐れるのは中国人民14億人の世論。
外国人としても、中国で反日ニュースが流れた後、
日本関連のお店に石が投げられる過激な動きを見るにつけ、
世論の暴発は恐ろしいと思います。
そうした意味で、中国政府が実名制にして、
自己責任で発言することを進めていることは
無理からぬことと個人的には思います。
そういえば、国策捜査で逮捕された、
鈴木宗男さんと佐藤優さんが、
検察よりも外務省よりも政治家よりも怖いのは世論だ、
と一連の事件を振り返っていました。

しかし一方で、実名だとインターネットの面白みが失われるケースもあります。
例えば、ペットの成長日記に飼い主の実名は必要ありません。
恋愛や不倫の相談を書き込むのに実名では不便です。
場合によって実名とペンネームを使い分けられるのが便利です。

中国では、いろいろ議論された結果、
インターネット上での書き込みは、
表面上は実名でなくても構わないが、
サイト管理者が実名を知ることができるように、
書き込みする場合には実名とIDを登録しなければならない、
という方法の検討がすすめられているようです。
実施されてみないとどんな弊害があるか分かりませんが、
個人的には良いやり方だと思います。

お酒の場のような気分で、匿名に酔いつぶれて、
理性を失ったことを書いてしまうと、
中国では非常に高いリスクが伴います。
相手が実名を知っているという前提で、
責任ある発言をすることは、
ある意味、ネットユーザーを守ることにもあるのかと思います。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2012年4月20日

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