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227.BBQにも目を光らせる北京市民

前回は中国のクリーンエネルギーの話題でしたが、
私の住む北京ではメディアで
空気汚染について触れない日はないくらい、
人々の関心は安全・健康な生活に注がれています。

以前にも話題にしましたが、大気中を浮遊する微粒子は
小さければ小さいほど健康被害が心配されます。
それは、肺の奥深くまで入り込み、
喘息や気管支炎を引き起こす原因になるためです。
特に、PM2.5という指数、2.5μm程度の微粒子が警戒されています。

こうした関心の大きさをうけて、
北京市ではかなり積極的に対策を講じています。
「2012年中に北京市の空気中汚染物濃度を2%削減!」
「2012年中に高汚染企業を66社を淘汰!!」など。
今年中というのがインパクトがありますね。

北京市には1200社もの汚染排出企業があるそうですが、
将来的に石炭や重油などの使用が禁止され、
さらに2015年(あと3年)までにそれら全ての企業を対象に、
郊外への移転奨励、汚染削減技術の提供を通じて
汚染排出の削減を徹底すると言うのです。
市民が一番関心をもっているPM2.5の値はというと、
現在70μgから2015年には60μg、
2020年には50μgにすると目標にしています。

さらに汚染排出の矛先は、
市民の楽しみである羊肉串屋さんにも及んでいます。



写真はたまに利用する開放感たっぷりの道端のBBQ屋さんです。
羊肉や鶏肉にスパイスを大量にふりかけ、
ビール片手にこの串を野外で食べるのが市民の楽しみです。
夏は8時くらいから夜の1、2時まで
お客さんが絶えることがありません。

ここにはガスが使われていますが、石炭を使ったものも多く、
夜は風も少ないのも手伝って石炭のすみが一面に充満しています。
その時のPM2.5値は200μgにもなるそうです。
こんな楽しみにまで汚染問題の矛先が向けられるほど、
環境問題について自律の念が強く働いているということでしょうか。

日本企業が石油ショックや海外の環境基準をばねに
環境技術を発展させて企業が強くなりましたが、
中国でも市民の汚染排出に対する強い問題意識が
企業が力をつけるひとつの原動力になるようです。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2012年5月18日

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