トップページ > 絶世美人便り > バックナンバー

   毎週金曜日更新

235.廃油の使い方もそれぞれ

物価の上がる中国とはいえ、食費は未だ安いと思います。
私も昼食は一人でローカルな食堂によく行きますが、
北京の市街地でも10元(125円)~15元(190円)程度で
大盛りの食事を頂けます。
ファーストフードでこの2倍くらいでしょうか。
中国の給与水準も物価も上がりつつありますが、
安い食事こそが中国の強さと実感します。

そんな中国の原動力を脅かす存在があります。
中国語で「地溝油」と言い、食卓やレストランなどで使い終わった廃油を
地下排水溝から回収し、それをそのまま販売する業者が暗躍しているのです。
もちろん、このような油を使った食事を長期的に摂取していると
がんを引き起こす可能性が高まるため、
社会不安を引き起こしています。

生活の根底を揺るがす「地溝油」の恐怖ですが、
この「地溝油」をオランダ航空会社が購入する、
という驚くべきニュースが先日ありました。
オランダの航空会社は
この排気油を加工してジェット燃料にするというのです。
中国からわざわざ買うのは、厳しいEUのCO2排出基準
(廃油処理した燃料はCO2の排出量が少ない)、
それと人口1600万人のオランダでは廃油がまかなえず、
廃油を再生する技術が未熟な中国では
廃油が安価という理由があります。

オランダは加工業がさかんで、
石油精製も代表的な産業になっていますが、
その技術に中国は目をつけ、資源提供だけではなく、
技術供与など長期的な協力関係を築こうとしています。

「よい環境規制は企業を強くする」と言いますが、
地溝油が調理鍋に流れ込む中国と、
それを資源として考えるオランダ両国の対比が
浮き彫りになるような話でした。
その殆どがブラックマーケットに流れる地溝油、
ぜひぜひ有効利用できるところに流れて欲しいものです。

絶世の活動情報 : www.zessei.com


2012年7月20日

<<前へ  次へ>>