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25.衝撃の戦争映画デビュー

保山市の騰衝県はミャンマーと国境を接する美しい観光地ですが、
日中戦争末期の激戦地のひとつ(騰越)でもありました。
邱公館の加工場からは、高黎貢山の峠道を越えて行かなければならず、
それまで滅多に行く機会がありませんでした。

今年の4月にこの騰衝で戦争映画の撮影が始まり、知り合いの日本人が日本軍の将校役に抜擢?されたというので、5月の連休を利用して見学に出かけました。
ついでに、北京からやってきた撮影スタッフや役者の人たちに邱公館コーヒーの宣伝でもしてみよう、くらいのお気楽さでした。

皆が朝食をとっている食堂の隅っこで、いそいそとコーヒーを淹れていた時、
友人が監督に、
「彼、映画に出たいって言ってるんだけど、ちょっとだけ出させてあげてくれない?」
と衝撃発言。
僕がびっくりする間もなく、「オッケ~!」と監督もものすごくライトに承諾してくれました。

従来中国で製作される日中戦争ものの映画やテレビ番組では、
日本軍はブタや鬼畜同様に描写され、
ちょび髭でデブでアホで下品な日本軍として嘲笑の対象にされます。
もちろん中国軍は、精悍で勇猛な英雄として描かれています。
日本軍役は大抵中国人の役者が演じ、
「馬鹿やろ」とか「めしめし」等、間抜けな日本語を連発します。

しかしこの映画は今までの戦争映画とは違いました。
新進気鋭の若い監督(李偉)の意図するところは、
日本軍の主要な役は日本人に演じてもらい、
日中両軍の心理的な部分にスポットをあて、感動的な人間ドラマを撮ることでした。
会戦当時、一人の日本軍将校から
「これ以上犠牲者を増やしたくない。停戦を希望する。」
と、中国軍将校へ送られた一通の手紙が、この映画の核となっています。
結局、中国軍側がこの提案は受け入れられない、と突っぱねたのですが、
日本人の中にも、殺し合いをすることへの大きな抵抗や葛藤があったことを
描いているのです。
今まで日本軍は畜生同然だと思っていた中国人にとって、
この映画はかなり衝撃的かもしれません。

僕もロケ地に繰り出し、日本軍の衣装を身につけ、
生まれて初めてファンデーションをペタペタ顔に塗られ、
出番がくるまでドキドキしながら友人の撮影シーンを眺めていました。


2007年8月31日 <<前へ  次へ>>