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38.ワインとコーヒーの楽しみ方

今回は僕がコーヒーの産地に来るまで全く考えたことのなかった
コーヒー産地の評価について、ひとつご紹介いたします。

それは
「どこそこ産のコーヒーは、香りが高くて、
マイルドなコクがあって、酸味がうんたらかんたら…」
というような、画一的な評価についてです。

僕も学生の頃だったかと思いますが、本でかじった程度の知識で、
「コーヒーはやっぱサントスだよね~」
と、今思えば意味のよく分からない事を、臆面も無く言っていました。

ワインに詳しい方ならご存知だと思いますが、
例えばフランス・ブルゴーニュというひとつの産地の中でも、
道や石壁などで仕切られた「クリマ」と呼ばれる農場の区画ごとで、
作られるワインの性格が全く異なるといいます。
つまり、道一本隔てて隣り合っていても、このクリマが異なれば、
その色や香り、やわらかさ等々、同じブルゴーニュ産でも
それぞれの個性を持った異なるワインを生み出すのです。

隣り合った農場であれば、
気候条件や日照時間・降水量等はほとんど変わらないはずです。
そこに違いが生じるのは、土壌や農場主の管理方法の違いがあるからでしょう。
そしてそのような農場の持つ個性を「テロワール」と呼び、
ワイン通の方は、同じ産地のワインでもその多様性を楽しんでいるようです。
(下戸の僕はワイン通でも何でもありませんが。)

ここ雲南でも、隣り合った別々の農場で
明らかにコーヒーの生命力が異なる様子を良く見かけます。
もちろんその評価は飲む方々に委ねますが、
生育環境だけでなく加工状況もばらばらのこれらのコーヒーを
同じ"雲南コーヒー"としてひと括りにするのは、
的を射ていないと思うのです。

世界中のコーヒー豆を取り扱っているこの業界の人たちが、
取引先や消費者に分かりやすく説明するためのマクロ的な産地特徴を、
僕たちがそのまま鵜呑みにする必要はありません。
簡単に言えば、ブラジル産でもエチオピア産でも、
良いコーヒーもあれば、クズみたいなコーヒーもあるということです。
さらに言えば、コーヒー豆の輸送や保管状況、焙煎や淹れ方によっても、
飲んだときの印象はかなり異なるはずです。

そういった事もあり、"どこそこ産の何とか農場のAさんの作ったコーヒー豆"
というように、生産者の顔の見えるコーヒーを仕入れている業者も増えてきています。

皆さんもこれからは産地だけでなく、
まずは農場まで意識してコーヒーをお選びになってみてはいかがでしょうか?
コーヒーの楽しみ方が倍増すること間違いありません。


2007年11月30日 <<前へ  次へ>>