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15.にーはお、雲南!〜木綿花編〜
私たちの加工場には、シンボルともいえる大きな樹があります。
樹の名前はタイ族語で「マウォリュウ」、
中国語で「ムーミィエンフォア(木綿花)」と言います。
雲南でも、珈琲が栽培できる
亜熱帯エリアでしか見ることのできない珍しい樹木です。


加工場裏のタイ族の村の言い伝えでは、
私たちの加工場の敷地内にある樹は樹齢およそ200年。
その樹は円満な夫婦の象徴で、
村の入り口をずっと昔から守っているそうです。
加工場の敷地内にある、しなやかな樹は女性、
すぐ裏にある力強い樹は男性に例えられています。
毎年春節前にすべての葉を落とし、春節が終わりに近づくと、
手のひら程の大きさの真っ赤な花を、
一本の樹に5,000個以上咲かせます。
深紅の花は、春節にふさわしい福色で、
農村の景色が一瞬で華やぎます。
そしてタイ族の人々は、この花の雄しべを食します。

花が咲いて一夜で落ちる200個程の花を集め、
花びらとがく、花粉、雌しべと順番に取り除き、
雄しべだけにして乾燥しないよう保存します。
そして、沸騰したお湯で30分程煮てあくを取り、
冷水にさらしざるにあけます。
ここまでの下ごしらえには手間がかかるのですが、
味付けはとってもシンプルです。

温め油をひいた中華なべに、
トマト・高漬け・木綿花の雄しべを入れ、
強火でさっと炒めて、塩で味付けをします。

雄しべに香りや味はなく、
くせになるようなシャキシャキとした歯ごたえと、
旬のトマトの野性味あふれる酸味とのハーモニーを楽しみます。

加工場の木綿花は、この村の中で最長寿の樹なので、
特に縁起がよいものといわれています。
タイ族のスタッフは家族のお土産に毎日、
落ちてきた花を竹籠一杯に入れ持って帰ります。
「今年は男性の樹のほうがおいしいわ。」と味比べしながら、
3月上旬まで楽しみます。
そして、木綿花が咲き終わると、
珈琲の白い花が開花を始めるのです。


2010年3月17日(水)

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