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23.邱公館の苗作り〜其の三〜
7000本の苗の救出作戦中、生育環境の急激な変化から、
苗がぐったりした状態になった日が途中10日間程続きました。
「こんなやり方は間違っている」と否定的な意見が出て
スタッフとの信頼関係もギクシャクしてきます。
しかし温度と水管理を続けながらさらに10日、
苗は一変し元気に生育し始めました。
まず、色が薄かった葉が深緑色になり、
そして葉が2倍以上の大きさに。
早いものだと新芽も出て、苗の高さにも変化が出ていきました。
たった3ヶ月で、
20cmで成長が止まっていた苗のほとんどが40cmを超え、
ぎっしりと細かい根を張りめぐらしていきました。
畑を訪ねてくる人がコーヒーの苗だと気がつかないほど
しっかりと成長していきました。

その後も苗作りの試験は続け、
翌年の2009年には、
自家製の有機発酵液体肥料を15日に1回与えることで、
目標だった11対の大きな葉を持つ苗を
大量生産することが可能になりました。
2010年度用には、ブラジルではよく行われている
6ヶ月苗にも挑戦しているところです。

一方で、良い苗が作れるようになったからと言って
経費が何倍にも増えてしまっては継続できず、技術も普及しません。
使い捨てていた移植用の袋は
4、5年使い回しができる素材に替えました。
苗床の屋根に使っていた遮光用の寒冷紗は
高価なわりに亜熱帯下ではビニール素材が紫外線に弱く
破れてしまい3、4ヶ月しかもたないので使用を中止。
その代わりに、地元に豊富に余っている
稲わらやとうもろこしの幹を屋根として代用しました。

経費を抑えた上、環境にも優しいものとなりました。
壊れても自分たちの身の周りにある素材で
簡単に補修することができます。
そして、稲わらの屋根の大きなメリットは、
稲わらを浸透して落ちる雨水にはカリウムが多く含まれ
苗に適量な栄養素を運んでくれるのです。
自然の力の偉大さを実感する瞬間です。

保山には、刻々と移り変わる美しい山並みが
今も目の前に広がってます。
しかし赤土の岩の多い土は決して豊かな土壌とは言えません。
東京の都心で、幹線道路脇に
真っ黒な関東ロームの黒土が新しく盛られているのを見ると、
思わず「ここの土すごい!」と声をあげてしまったことがあります。
しかし、雲南のこの場所でここでしかできないコーヒー栽培、
歴史にはぐくまれた文化を守り、
そして土地の潜在能力を引き出していくことができる時、
循環型農業をやっている私達にとって最高の喜びです。


2010年5月12日(水)

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