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49.雲南に新しい技術がやってきました
先日中国のコーヒーの変革を象徴する歴史的な会議が
保山で3日間開かれました。
「中国コーヒー栽培・加工技術訓練会」です。
雲南省熱帯経済作物研究所と昨年発足した雲南省珈琲協会が主催し、
中国の珈琲産業の発展を目的としています。
参加者は地元の会社や農家をはじめ、
遠くからは四川省で珈琲栽培をしている会社、
雲南省とベトナムとの国境の町・河口の珈琲会社など、
200人を超える大きな会議となりました。
講師は外国からコーヒーの専門家が招かれました。
フランスと台湾のコーヒー栽培技師、オーストラリアの大学教授、
ブラジルの大手機械会社の技師の公演の後、
保山を代表する台湾資本の大手加工場と
200ヘクタールの農園を所有する会社を視察しました。

フランスと台湾の技師により、
施肥方法・病害虫対策などの栽培技術指導が行われました。
雲南省の気候にあった品種紹介と
栽培ポイントの説明を詳細に示されました。
雲南の珈琲の栽培技術は世界的に見ても発展途上です。
特に苗と定植、剪定方法は他国に比べ大きな後れをとっています。
産地では、まるで野菜の苗を定植するかのように
80cm間隔でコーヒーの苗を定植します。
コーヒーの収量が落ちる事を嫌がる為、
10年経っても剪定をしません。
今回の講習会ではこの2点の改善案の指摘もありました。
また、レインフォレスト・アライアンスやバードフレンドリーなど、
コーヒーのマーケットで主流になっている
品質保証の認定制度の紹介がありました。
しかし、中国企業や農園主の興味はまだまだ薄いのが実情です。
一方で価格には敏感で国際相場と
中国のコーヒーの相場についての質問が矢継ぎ早に上がりました。
私たちが一番興味深かった研究発表は、
オーストラリアの大学教授による「珈琲豆の品質保持の研究」です。

1、室温-18℃、冷凍庫での環境下
2、室温15℃、湿度60%の環境下
3、室温30℃、湿度50%の環境下

現在の穀物の保持研究の常識では、
2番が最も保存状態のよい環境を持続できるとされています。
しかし、この実験結果ではコーヒーにおいては、
3番の保存方法が最良とされ、
焙煎豆のアロマが最大にひき出ると示されていました。
私たちは保山に来てから、亜熱帯の保山の夏場の倉庫の室温を
どうやって下げて一定気温を保てるかを試行錯誤していたので、
この研究結果には驚かされました。

会議の合間に技師の方に挨拶に伺うと、
「買いつけする日本人には多く会うけれど、
コーヒーを栽培できる日本人技師には初めて会ったと。」
と驚かれました。
ドミニカ共和国の研究所にいた時に、フランス人コーヒー技師や
台湾の蔬菜の技師と一緒に仕事をした話などをしているうちに、
すっかり意気投合し、講習会が終了後、
邱公館の農園と加工場を見に来てくれました。
「中国でこんな面白い取り組みをしている会社があるとは驚いた。」
と興味津々。
他の中国人にはわからないようにこっそりとスペイン語で、
「今日視察した農園のコーヒーは飲みたいと思わなかったけれど、
ここのコーヒーは飲みたいと思わせるコーヒーだ。」
と絶賛してくれたので思わずスペイン語で
「Gracias!!」と叫んでしまいました。


2010年11月17日(水)

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