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50.珍コーヒーは通用するか?
世界中にいろいろなコーヒーがあります。
品種や加工方法・飲み方等、
それぞれの段階でオリジナリティがあります。

すべては無類のコーヒー好きによって編み出された方法であり、
もしくは安価に買い叩かれやすい商品作物のコーヒーに
少しでもプレミアをつけようと
生産者が苦心の末に生み出した方法でもあります。

そんな生産者の究極のアイデアコーヒーといえる
有名なコーヒーがあります。
実を食べる動物によってもたらされる幻のコーヒー
「コピ・ルアク」です。
「コピ」とはインドネシア語でコーヒー、
「ルアク」とはジャコウネコのことです。

かつてインドネシアのコーヒー農園では熟したコーヒーの果実が、
野生のジャコウネコに食べられてしまう被害が発生していました。
それも完熟した甘くておいしい果実だけを、器用に選んで食べます。
ところがネコが消化できるのは甘い果肉の部分のみです。
コーヒーの原料となる種子は消化されずに、
パーチメントのついた状態で糞といっしょに排出されます。
そこに目を付けた農園主は糞の中から種子を取り出して、
洗浄した後、パーチメントを脱穀して商品に仕立て上げたのです。

ジャコウネコの体内に取り込まれた種子は、
消化酵素や細菌によって特殊や影響を受けるため、
他のコーヒーにはない独特の甘さと複雑な風味、
特徴ある強い香りがします。

その他にも世界中に、
台湾ザルが吐き出した種子から生産したコーヒー、
ブラジルのジャクーという鳥の消化を経て生産されるコーヒー、
リスが消化したコーヒーも存在します。

さて、そのような話をどこからともなく聞きつけて、
高く売れると知った加工場の近所の農園では早速、
5匹のジャコウネコの親戚「白鼻芯」を飼い始めました。

雲南版「コピ・ルアク」の生産を始め、
コーヒー豆を100g1000元で販売したいと鼻息を荒くしています。
でも、この白鼻芯、
2002年11月に発生したSARSに関連性が高いとされた怖い動物。
WHOの職員らが雲南の山奥までやって来て
徹底的に駆除した経緯があります。
そんなことも意に介せず、
商売に励む農園主に私たちは開いた口が塞がらなくなりました。

私たちは良い意味で
日本流農業を取り入れていきたいと思っています。
農業は科学です。
他人任せでは良い品質を維持できると思いません。
コーヒーチェリーの品質は徹底して先端技術を取り入れ、
効率的な品質管理のもとでのみなされると信じています。


2010年11月24日(水)

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