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58.春節の準備
村の各家庭では12月の下旬から春節の準備が始まっています。
豚の解体も春節前の大きな仕事です。

養豚を始めてから、
ますますタイ族独自の豚肉処理法や料理に興味を持って
研究しています。
そんな経緯から、今年はタイ族の友人にお願いして調理に加り
「タイ族流おもてなしの極意」を学べることになりました。

前日からの泊まり込みで、まずは大豆から豆腐作り。
続いて深夜には豚の解体、部位の切り分けに挑戦しました。
解体された豚はすぐに頭と足は直火で真っ黒になるまで焼き、
1日水につけてこげをとり保存されます。
血の一部は豚パーティの名物の
大ソーセージ「腸豆腐」の材料になります。
残りは固められ大根と一緒に煮込み、お客さんにもてなされます。

ちょっと残酷なようですが、
捨てるところはなくすべての部位を丁寧に処理していきます。

腸は3度洗いし腸豆腐に使われます。
1回目は前日に作った豆腐のおからを使い汚れを落とします。
2回目はお酢を使い臭みを取り、
その後匂いが少なくなるまで何度も水洗いをします。

腸豆腐の材料は
ミンチ・血・水をよくきった豆腐・3種類の香辛料と塩です。
家のおばあちゃんが手でかき混ぜながら、味を決めていきます。
「小腸に詰める時は塩を少なめにすることがコツだよ。」
と教えてくれました。
腸詰する機械は水道管で作られた手作りのもの。
村で数台を共有しています。
その日は腸詰担当の女性グループが機械を持って家を回っています。
腸にどんどん材料が入っていきます。

ソーセージと違って一つ一つ腸を区切るわけではなく、
ただひたすら材料を詰め長くて太~い腸詰を作っていきます。

腸詰担当の女性たちは腸詰が終わると、
パーティで残った肉を切り刻む作業を手際よく行っていきます。
豚肉パーティで残った大量の肉は、干し肉にするか、
素焼きの大きい壺の中で塩や香辛料、油などを使って
長期保存されます。
この方法で冷蔵庫に入れなくても常温で10ヶ月保存がききます。
脂身は大きい鍋でラードを作り保存します。

最後に豚の毛を買い取る業者がやってきます。
筆の材料になるのです。
1匹分の毛が2元。
お手伝いをした子供たちのお駄賃になりました。

こんな風にして一昼夜をかけて200kgの豚は、きれいに片付けられ、
家々の軒先には大きな大きな腸豆腐がぶら下がっていくのです。


2011年1月19日(水)

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