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5. 漢字の意味

イタリアへ料理の修業に来た人達のほとんど全てが
共同生活を強いられます。
私も修行先一軒目のレストランでの寝所は、
双子で20歳のサービス員2人と
同じポジションをしていたナポリ出身の彼と私、
計4人で住んでいました。
もちろん私1人を除けば全てイタリア人、。
言葉の壁や生活習慣の違い、戸惑ったことは数知れずあります。
そんな中で残っている思い出深い出来事を
今回書かせていただきます。

イタリア生活も1ヶ月が過ぎようやく慣れ始め、
いつものように燦燦と照りつける太陽が眩しく、
アドリア海から吹き上げる潮風が心地良い
ある日の午後の出来事です。
ランチの営業も終わり一息ついたので
辞書を片手に海岸沿いを歩いていたら、
私の目に懐かしい言葉が飛び込んできました。
当時の私はイタリア人同士の会話を聞いては
それをメモして寝所に持ち帰り、
辞書で意味を調べ勉強していました。

私の目に飛び込んできた言葉というのが、
あるイタリア人親子とすれ違い時に
その子供が着ていたTシャツにプリントされていた言葉。
「男の子」と書かれていて、
確かに男の子なのですが意味を分かって着ているのかは別にして、
大笑いしたことは言うまでもありません。
すぐさま同居人達に話すと、
待ってましたというばかり「俺の名前を漢字で書いてくれ!」
と言いペンと紙を渡されました。

当時のイタリアの若い世代には
中国や日本の漢字が流行っており
自分の名前を漢字にして腕や肩などにタトゥーを彫っては
見せびらかしていたようです。
私もそんな事で喜んでくれるならとペンを持ち書こうとした瞬間、
彼の名前を思い出しました。
そう、ナポリ出身の彼はイタリアンチックな名前ではなく
エジプトチックだったのです。
「ヌンツィオ」それが彼の名前。
これを漢字に?
カタカナで書いてあげると、
「これは漢字じゃない!エジプト文字みたいでかっこ悪い!」
だって。
仕方なく「怒対悪」と書いてあげると、目を輝かせご満悦の様子。
するとヌンツィオが「オレの親友の名前も頼む!」と言い、
名前を聞くと「ジュセッぺ」。
もうどうにでもなれと思い、
「呪世ッ屁」と書いた事を記憶しています。

願わくばタトゥーにして腕などに彫ってないことを祈るしだいです。


2007年5月2日 <<前へ  次へ>>