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28. 思い出話 VII

突然ですが皆さん、イタリアの PASQUA'パスクア'ってご存知ですか?
簡単に説明すると、イエス・キリストの復活をお祝いする日なのですが、
このパスクアは月の満ち欠けに関係しているので毎年同じ日ではありません。
日本で言うと春分の日以降、月が満月になった後の日曜日がパスクア。
今ではどうか判りませんが、
このパスクアの日まで食生活を慎み当日を迎えるとフェスタが始まります。
キリストの復活を祝い、UOVO DI PASQUA(卵形のチョコレート)をプレゼントし、
COLONBAという平和の象徴であるハトを象ったケーキを食べます。

私がイタリアのブラという街に在るお菓子屋さんで勉強させて頂いていた時期に
ちょうどこのパスクアが重なり、卵形のチョコレートを作る過程を見ることが出来ました。
私が居たお菓子屋さんでは、この卵形のチョコを作ってもらう為
スイスから、トンティさんという職人を呼んでいました。
トンティさんはスイスでお菓子学校を開校しているらしく
その筋では有名な方なのだそうです。

まずは半卵型にチョコレートを流していき、固めて型から外します。
それをチョコレートでくっつけて卵形のチョコを仕上げ、
大きさが違うもの同士またチョコで合わせるとこうなります。

これに別で作った足と羽をつけるとさらにこうなります。

そしてこれにチョコレートを溶かしテンパリングしたものを
特別な霧状にする機械に入れ、ここに吹きかけます。

そうするとこの愛らしいアヒル形チョコレートに光沢と艶が生まれます。
そこにまた別のチョコとホワイトチョコで作っておいた目玉を取り付ける。

これが目玉の大量生産です。凄いでしょ!

そしてマジパン
(アーモンドに煮詰めたシロップを加え、
糖化“再結晶化”させたものを細かく砕き、ペースト状にしたもの)
で髪の毛、羽、帽子、くちばしを作り各部位に取り付けるとこうなります。

仕上がりは次回お見せします。つづく


2008年3月19日 <<前へ  次へ>>