雲南省の自然

雲南の名称は、四川との境にある山脈、雲嶺の南に位置することに由来します。また雲南の位置するところは、いくつかの著名な国際河川の上流でもあります。上海から長江を、香港から珠江を、ハノイからホン川を、サイゴンからメコン川を、あるいはヤンゴンからタンルウィン川をさかのぼって行くと、みな雲南にたどり着きます。そんなアジア大陸の奥地、雲南には何があるのでしょうか。

 

雲南には風光明媚な土地があります。アジア大陸とインド亜大陸が衝突することで、雲南の地には6000メートル級の山々が生み出されました。この山々によって雲南には、寒帯、冷帯、温帯、熱帯とさまざまな気候が揃い、「一山の中に四季があり十里の間で気候が異なる」と言われるほどに変化に富むものとなりました。ティベットとの境には凍原の「梅林雪山」がそびえ、ミャンマーおよびラオスとの境には熱帯乾林の「西双版納」が広がっています。その梅林雪山のふもとの、長江とメコン川とサルウィン川の上流が並行して流れる「三江併流」は世界自然遺産の指定を受け、また西双版納は国家級自然保護区の指定を受けています。ここ雲南は、「石林」や「紅河の棚田」などの中国遺産のほか、多くの国家級風景名勝区、省級名勝区を有しています。

 

多彩な気候区が揃った雲南には、多様な生物が生息しています。千を超える動物種、万を超える植物種を数えることのできる雲南は、「植物王国」や「動物王国」といった異名を誇ります。とりわけ照葉樹林の中は、世界有数の野生生物の宝庫となっています。

 










 

植物王国、動物王国の雲南は、同時に「少数民族王国」でもあります。長い年月にわたって、彼ら少数民族はそれぞれ独自の文化を発展させてきました。ここには、天文や暦法に優れたイー族、かつての南詔国を建てたバイ族、紅河の棚田を拓いたハーニー族、タイ人と親戚関係にあるタイ族、世界歴史遺産の麗江古城に暮らすナーシー族など、何十もの民族が暮らしています。ナーシー族は独自の象形文字「東巴」を使うことで世界中の研究者を魅了していますが、別の民族は近年まで文字を持たなかったことで有名です。私たちのコーヒー農園がある保山に暮らすデーアン族も、文字がなかった民族の一つです。彼らデーアン族は茶を好み、どの家にも茶の木があると言われるほどです。

 

また雲南には、自然と一体化した伝説の理想郷、香格里拉(シャングリ・ラ)伝説があります。香格里拉とは「心の月日」を意味するティベット語で、桃源郷の代名詞となっています。雲南省政府は、香格里拉のモデルは三江併流地域の迪慶(デチェン)ティベット自治州である、と宣言しています。このことからも、雲南は豊かな自然の中で多くの民族が共存する土地だ、という彼らの自負心を伺うことができます。

 

雲南の自然は多様であり、それぞれの農作物に適した場所がそれぞれの地域にあります。とりわけ有名なのはプーアル茶や生薬の栽培地域で、それぞれの主産地である思茅や麗江の山々には海外から買付けが入るほどです。1900年頃、このような山地に宣教師がコーヒーの原種を持ち込んだと言われています。雲南がコーヒーの生育にも適した環境でありながら、そこに暮らす人々にコーヒーを飲む習慣がなかったためか、今日まで品種改良を受けることがありませんでした。この自然の中に取り残されていた原種が、私たちの「宝の山」です。