Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第12回
砂糖の密輸商売で金持ちになる夢は破れました

大学院に進み、一年たった頃、
台湾に日本人を迎えに行く船が出ることになりました。
邱さんはその船に乗って台湾に帰りました。
大東亜戦争の終結により、
台湾が日本の植民地から解放され、
「これで台湾も自由の天下になる」
と期待に胸ふくらませての帰郷でした。

しかし実際に帰ってみると、
日本に代わって台湾にやってきた
蒋介石一派の陳儀将軍以下の軍人や役人たちは
かつて中国大陸に押しかけた日本人よりお粗末で、
しかも貪欲な集団でした。
台湾での官職を支配し
「日本留学組は日本帝国主義の精神に害された連中だ」
と日本留学組を職場から追い出しにかかり、
日本からの帰郷組は仕事にありつけません。
「日本留学組」の一人である邱さんも
すっかりアテが外れました。

帰りの船で一緒になった青年たちと組んで土建会社を開きました。
また中学の英語教師にもなりました。
いずれも長続きせず、友人の兄たちが砂糖を日本に密輸して
荒稼ぎをしている話に刺激を受けます。
そこで母親に現金を無心し、非合法のヤミ船に砂糖を積み込み、
日本に密航する計画に参加しました。

しかし、船が浅瀬に乗り上げたり、官憲に捕まったりと三度失敗し、
同じことを繰り返すだけの経済的な手段を失ってしまいました。


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2002年9月8日(日)

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