Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第167回
“再起不能のジンクス”を破ることに夢中になりました

選挙に出た邱さんに予期せぬピンチが襲ってきました。
ジャーナリズムからの締めだしです。

「選挙に失敗したからと言うわけではないが、
あとになって考えてみると、
どうしてあの時、あんなことを考えたのか不思議である。
選挙に出ると決まっただけで、
私はジャーナリズムから締め出されてしまった。
新聞、雑誌、テレビを通じて選挙運動をされることを
警戒した上での措置だろうが、
ジャーナリズムは政治家に対して強烈なアレルギーを持っている。
だから小説家から政治に乗り出した人は、
たとえ文章書きとしての才能をもっていても、
ジャーナリズムの強い抵抗にあう。
従って、輿論に訴えようと思ったら
間違っても政治家になるべきではない。
文章家としての自主、独立の地位を維持した方が
ずっと有利なのである。

第二に、政治家の世界は、当選何回といった
年功序列のはっきりした社会だから、
他の業界で成功した人が途中から割り込んで
なかなか大臣になれないし、
派閥を形成することから容易でない。
私のように55歳になってから思い立って
仮に100万票集めて全国区で当選しても、
与党の中の要職につくことができないし、
まして国際舞台で発言権を
持てるようになれるわけでもないのである。

たったこれだけのこともわからずに、無謀な行動にでたのだから、
男の厄年は25歳、42歳、61歳というが、
私の場合は42歳と55歳であったというほかない。
なんで61歳でなくて55歳かというと、
定年が60歳とすれば、少々感度のよい人間なら、
5年も前に手応えがあるのがふつうだからであろう。

選挙のプロはどういうかわからないが、
物書きか芸能人は、一度選挙に失敗すると、
それっきり沈没して再起不能というジンクスがある。
そういっておどかされたが、
私は選挙におちても少しもめげなかった。
むしろ厄落しができたようなもので、
私は奈落の底に突きおとされたところで、
どうやってピンチから逃れるかに夢中になった。」
(『鮮度のある人生』)


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2003年2月10日(月)

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