Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第180回
竹村建一さんとの対談『もっと上手に儲けなさい』

昭和56年8月に『もっと上手に儲けなさい』
という本が出版されました。
竹村建一さんとの対談をまとめたもので、
竹村さんがオーナーになっている
太陽出版企画から刊行されました。
この本には邱さんと竹村さんの対談のほかに
二人の主張の要点がまとめられた文章がいくつか掲載されています。
それらの文章の一つで、
金儲けには金銭感覚、時代感覚そして経営者感覚の
三つの感覚が必要であると指摘する
邱さんの文章を紹介します。

「お金儲けをしたかったら、
常に磨いておかなければならない感覚がいくつかある。
まず第一に金銭感覚。
日本人は、金のことを話題にすることを避けたがる風潮があるが、
『ノドから手が出るほど欲しい』という表現もあるように、
それは必ずしも本心ではない。
その点、中国人はあけすけに金の話をする。
金の大切なことを身をもって体験しているから、
金が欲しいことをかくそうとしない。
たとえば私の家では、食卓の話題に、
しょっちゅう倒産した時の話と死んだ時の話が登場してくる。
中国人は世界に名高い食道楽であるが、
食べるために稼いでいるのだから、
儲けることと食べることは矛盾するどころか、裏表になっている。

二つ目は、世の中の変化にどう対応していくか
という時代感覚である。
たとえば料理の世界を見ても、
いま日本ではかなり大きな変化が起こっている。
せいぜい10坪かそこらかの小規模な店で、
オーナー兼シェフの若者が
実に楽しそうにうまく料理をつくっている。
そんな店が最近目立って増えてきた。
また、小規模の洋菓子店が増えてきている。
劇場は連日満員で、カルチャーセンターも大繁盛である。
これらの新しい傾向はこれから先10年間に
どんなことが起ころうとしているかを示している。
マスプロ、マスセールスの時代がほぼ飽和点に達すると、
再び核分裂が起こってくるのである。
また形のない商品、たとえば知識や教養、楽しみ
といったものに対する需要が高くなってくる。
私はこれを『体験産業』と呼んでいるが
売買の対象になる商品の内容が従前とかなり違ってくるから、
うまくそうした時流に乗れるかどうかが重大なキーポイントになる。

第三は、経営者としての感覚である。
どんな小さな商売でも、
逆にどんな大きな組織の中の一つの歯車に過ぎない存在でも、
事業を動かしている人としての感覚がなかったら、
これからの競争に打ち勝ってはいけない。
それは元手がいくらあるかといったことではなくて、
それを動かす才覚のことである。
ハードよりソフトのほうが大切なのである。」
(『もっと上手に儲けなさい』)


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2003年2月23日(日)

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