パリだけがフランスではありません

第8回
フレンチ・フランからユーロへ、歴史的体験

2001年、
ヨーロッパは統合に向けた第一歩として、
主要国間の通貨統合を実施しました。
その前後、日常生活の混乱が懸念されましたが、
杞憂に終わりました。
この歴史的な通貨統合を実際に体験したわけですが、
思ったより簡単で単純なことでした。
みんな難なく新しい通貨を使い始めたように見えました。

フランスに暮らして1年目。
実はエトランジェ(外国人)の私には
まだフランもユーロも実感のないお金でした。
「円」に換算しないと価値がわからなかったのです。
ただ困った事に円とユーロは常に換算率が変わります。
現在1ユーロ140円近い高値ですが、
当初は120円ちょっと。
なんでも安かった!
でも私は一時的にフランスを訪問した旅行者ではありません。
日本円で安くても、
フランス社会でどうなのかわからないと不味いわけです。

実はフランとユーロの狭間で、
フランス人自身もエトランジェの私同様に
内なる物価判断に大混乱をきたしていました。
つまりユーロの値段表示を見ただけでは、
すぐにふさわしい値段なのか、
安いのか高いのかわからなくなってしまったのです。
ただ円と違い、フランとユーロの換算は固定で
1ユーロ=6.55957。
感覚的には1ユーロ=10フランという思い込みもあり、
何もかも高くなった気もしたわけです。
2004年になって
公共料金の請求書はユーロ表記だけになりましたが、
スーパーの値段表示には今も旧フランの値段も併記されています。

面白かったのは教会での献金。
以前は10フラン硬貨1枚が普通でした。
ユーロになってから、
みんな同じつもりで1ユーロ硬貨を出すようになったのです。
感覚的には10フランと同じなのですが、
実質は6.5フラン。
教会は一人頭3.5フランの減収になってしまいました。
そこで行なわれたのが「2ユーロ硬貨での献金」キャンペーン。
幸いユーロの硬貨は
1と2の2種類(サンチーム硬貨もあります)があります。
今それを言う教会はないので、
この面ではみんな早々に理解したようです。


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2005年2月2日(水)

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