パリだけがフランスではありません

第9回
海辺の散歩道

我が家の家族は、
52歳になった主人のオリヴィエと50歳の私、
9歳の息子の久(漢字一文字で「ヒサシ」と読みます)と、
多分5歳になる雑種犬のベベール
(引き取った時すでに成犬だったので)と
2歳のメス猫タンタンの3人と2匹です。
犬は本来息子の犬ですが、
万国共通、結局毎日の世話は
一家の主婦の役目になってしまっています。

犬の散歩でほとんど毎日歩く海辺の散歩道があります。
家から1分の浜辺から
右へ行っても左へ行っても海辺の小道がありますが、
特に気に入っているのが右へ行く道。

夕方散歩に出ますが、気が向くと朝方出かける事もあります。
春、道端に咲くエニシダの甘い香りが満ちていたり、
夏は草の匂い、潮の匂いがします。
秋も深くなった夕方は、
落ち葉を焼く焚き火の匂いが鼻をくすぐります。
松の葉を焼いている時は、
まるでお線香のような良い香りがします。
冬は雲間にスーッと隠れてしまう
オレンジ色の夕日を見るのが楽しみです。

犬の散歩なのでほとんど毎日、
多少の雨風なら出かけなければなりません。
怠けたい日もあります。
でも歩き始めると気持ちは一変。
同じ小道なのに、季節、天気、気温によって
海の色、すべての様子、木や草、鳥の声、姿など、
一つとして同じだったことがありません。
いつも何かが違うのです。

天気の良い週末
この小道は近隣の来訪者でけっこう混みます。
そんな時は静かな別の道を行くことが多いのですが、
普段はご近所の犬を連れた顔見知りと出会うだけ。
挨拶のみですれ違うこともあれば、
しばらくおしゃべりをすることもあります。
ただ一番好きなのは、
誰もいない小道をゆっくりあちこち目をやりながら
自分のペースで歩く時。
まるで瞑想に浸るように何も考えず、
ただ回りの自然に目をやって歩を進めます。
犬は放しているので
勝手に私の前になったり後になったり気ままに歩いていきます。
彼はコースも熟知しているし。

たった30分から、少し長めに歩いても1時間以内の散歩ですが、
1日のエアー・ポケットでしょうか。


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2005年2月4日(金)

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