パリだけがフランスではありません

第13回
あなたは妻を、夫をなんと呼びますか

海外生活を始めるもっと以前、
フランスに取材で出かけた時にお会いした
1人の在仏日本人女性のエピソードです。
彼女のお子さんが小さかった時、
学校で先生からお母さんの名前を聞かれた時
「ビッシュbiche(雌鹿という意味)」と答えて
困ったことがあるといいました。
実はこの時、フランス、フランス語を知らなかったので、
あまりピンときませんでしたが、
これは男性の女性に対する愛情を込めた呼び方だったんです。

つまりフランス人の御主人が
いつも彼女のことを
「マ・ビッシュ(直訳すれば私の雌鹿となります)」
と呼んでいたわけです。
だからそれをいつも聞いていた子供が、
お母さんのことはそう呼ぶものだと思ったわけです。

ところでみなさんは
ご自分の奥様や夫、恋人をなんと呼んでいますか。
実はフランス語にはいろいろな呼びかけ方があるのです。
主には男性が女性に対しての呼びかけ種類のほうが
多いようには思いますが。

愛しい人というシェリーcheri(e)。
ココットcocotte。
フランスの一般家庭には必ずある
厚手の蓋付き両手鍋のことですが、
女の子や女性の愛称としても使います。
先のビッシュもそうだし、
雌鶏のプールpouleも愛情を込めた呼びかけとして使われます。
などなど…
でも、けして二人の間で
相手を「お父さん」とか「お母さん」と呼び合うことはありません。

たとえば我が家の場合、
主人が息子や家の犬や猫に
「お母さんからもらいなさい」とか
「お母さんに頼みなさい」という事はあります。
私も息子や犬と猫にオリヴィエのことを
「あなたのお父さん」という表現を取りますが、
彼自身を「パパ」と呼ぶことはありません。
もし私たちの間で「パパ」と言ったら、
それは彼のお父さん、つまり義理の父を指すことになるからです。

この10年でファーストネイムを呼び合うのはもちろん、
フランスの男女には
その関係と気分を表すのにふさわしい
愛情表現たっぷりのいろいろな呼び方があるのを知りました。
たまに「シェリー cherie」と呼ばれると、
こそばゆくもちょっといい気分になります。


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2005年2月14日(月)

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