パリだけがフランスではありません

第41回
フランス版政治家のスキャンダル

2月のある日、オリヴィエが帰宅したと思ったらすぐに
「大蔵大臣ministre de l’Economieのアパートのことで
ラジオがいろいろ言ってたけど、知っている?」といいました。
日本でも少し報道されたようですが、
そもそも週1回発行の新聞
「カナール・アンシェネLe Canard enchine」の
スクープから始まったことです。

現大統領も所属する
与党UMP(Union Majorite Presidentielle)内の党首になったため
大蔵大臣を辞任した(フランスでは党首と大臣職は兼任できないため)
ニコラ・サルコジ氏Nicolas Sarkozyに代わり
2004年11月からその職についた
エルヴェ・ゲマール氏Herve Gaymardのスキャンダルでした。

カナール・アンシェネは、
彼が現内閣に入閣した時(最初は農業大臣でした)から
官舎として借りたアパルトマンの家賃をすっぱ抜いたのです。
パリのど真ん中、8区に600uの広さを家族のため
月14000ユーロで借りていたというもの。
日本円にして200万円近い金額です。
さらに後からわかったことですが、
彼が資産家であるにも関わらずそれに対して払った税金の少なさ。

この問題が表沙汰になって1週間後、
ゲマール氏は何度か正式に釈明コメントを出したり、
TF1の夜のニュースにも出演しました。
が、インタビューでの嘘やら何やらで、
結局ラファラン首相に辞任を申し出ざるをえなかったわけです。

日本では立場をわきまえないばかりか
人格を疑いたくなる不用意な発言、行動など、
恥ずかしいことで大臣職や議員職を辞す人がいます。
ここフランスでは
さすがにそんな破廉恥な出来事での辞表はないと思います。
さらに公務に支障をきたさない限り
個人生活(離婚、愛人問題など)は
一般的にスキャンダルになりません。

たとえば故ミッテラン大統領は、
愛人宅からエリゼ宮に通っていました。
その話しは有名でしたが、問題にしたところはありません。
ただし大統領が愛人宅を公費で賄っていたのは大問題になりました。

というように、高い税金を払っている国民は、
政治家による公費の無駄遣いについては絶対許さないのです。


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2005年4月20日(水)

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